すぐそこまで迫った宇宙旅行。行くなら知っておきたい、超具体的な質問をJAXA職員にぶつけました!
Q1. いつも長旅だと肩が凝るのですが、宇宙では?
地上では、頭や腕を支える必要がありますが、無重力だとその必要がなくなり肩こりが起こらないようです。金井宣茂宇宙飛行士は、ISS滞在中、悩みの種だった肩凝りが解消されたと話しています。もちろん寝違えることもないようです。
Q2. 旅行中、トイレってどうするんですか?
地上の洋式便座と同じようなつくりになっています。でも、宇宙のトイレは地上とはちょっと違います。まず、浮かないように身体を固定して使うようになっていて、掃除機のように排泄物を空気と一緒に吸いこむしくみになっています。そうしないと、排泄物がプカプカと浮いたままになってしまうのです。
また、小のほうはこれも掃除機のようなホースで吸いこみます。ドアはなくカーテンで仕切られていますが、ISSの中は空調ファンなどの音や、トイレを使う時のモーターの音がうるさいので、トイレの音が外に聞こえるようなことはありません。安心してご使用ください。
Q3. 宇宙に行く際に持っていくべきものありますか?
複数の宇宙飛行士が便利なものとして挙げるのが、「マジックテープ」です。宇宙は無重力ですから、ものを置いておくことができません。だいたいは、どこかに固定するのですが、その際に使われるのがマジックテープです。例えばペンを置いておきたいのであれば、ペンと自分の身体にマジックテープをつけておくと便利です。
また、地上のように空気の層がないので、星もよく見え、地球もよく見たくなると思うので、双眼鏡や望遠鏡などもよいかもしれません。
Q4. お土産って手に入りますか?
現在ISSにはお土産屋さんはありません。また月や火星に行った際、旅行者が何かを拾ってくることがいいのかどうか、まだ法整備が整っていないので決まっていません。
Q5. 宇宙に行く時パスポートは必要ですか?
現在、宇宙は外国とは認定されていないので不要です。しかし打ち上げ場所が海外の場合は、そこまで行くのに必要ですから、持っていってください。
Q6. 宇宙への船旅。船酔いってしますか?
ISSや宇宙船内では、地球と違い重力がとても小さくなります。その影響で多くの人に、頭痛、吐き気、嘔吐といった「宇宙酔い」の症状が現れます。普段は身体のバランスを取る時、耳の奥にある「前庭器官」という小さな器官が働いています。この器官は、身体が受ける重力や加速度の情報を電気信号に変えて脳に送ります。
しかし重力がとても小さい宇宙では、前庭器官から入ってくる情報が変化するので、脳が混乱し、宇宙酔いを起こしてしまうとされているのです。でも、この状態はあまり長く続きません。宇宙に数日滞在すると、宇宙酔いは治まってきます。宇宙酔いの程度は個人差があり、まったくならない人もいます。
また、地球に戻ると、再び地球の重力の影響を受けるので、宇宙酔いと同じような症状を示す「重力酔い」が発生することも知られています。なお、星出彰彦宇宙飛行士によれば飛行回数が増えると宇宙酔いに慣れるまでの時間が短くなるとのことです。
※ゲーテ11月号は、宇宙の最新事情を網羅した完全保存版!
Illustration=岡田 丈