35歳・英語力ゼロなのに、会社を辞めていきなり渡英した元編集者。「その英語力でよく来たね(笑)」と笑われて2年後、英語力未だ0.5であえなく帰国。だけど日本にいたって、きっともっと英語は覚えられる! 下手でもいいじゃない、やろうと決めたんだもの。英語力ゼロレッスン「人のEnglishを笑うな」第109回!
「あ」の発音が通じない!
DirtyとParkの「あ」の発音、使い分けられる?
日々の忙しさにかまけて、英語の勉強をサボりがちになっています。これではいけないと、久々に英会話のレッスンをオンラインで受けることに。時期はちょうどオリンピックの最中だったので、イギリス人の先生は早口で、自国選手の活躍を語っているようでした。話がトライアスロンになった時のこと。
「都会の汚れた海ではなくて、日本の南国のきれいな海を海外の人にも見せたかったな」
と伝えようと思って、“dirty ocean”と言ってみたら、先生がポカンとした顔。
さっきまで会話が弾んでいたし、難しい単語も使っていないはずと焦って何回も「だあーてぃ」「だあーてぃ」と繰り返していたら先生の顔が急に明るくなりました。
「ああー、“dirty”って言ってるのね、やっとわかったわ!」
全然伝わっていなかった模様です。
いや、だからさっきから、“dirty”って言ってるんだけど、何がちがうの?? とポカンとしていると。
「あなたの発音は“あー”になっているけど、それだと“dirty”とは聞こえないよ」と教えてくれました。本来“dirty”の「あ」の発音は「舌を下の前歯の裏につけながら、口を閉じ気味で発音する」そうです。しかし私の「だあーてぃー」の「あ」の言い方は舌が上にむいていて、口も思いっきり開いているため「それじゃ歯医者さんに行って、口を大きく開けたときの“あー”ね」と笑われました。
ちなみにこの歯医者さんでやる“あー”の音は、 “park(公園) ”の発音に使うようです。
二つの発音を使い分けようと、「ぱあーく」「だあーてぃ」と練習してみましたが、なんどやっても違いがのみこめず、“Is this dentist one?(これだと歯医者さんのやつ?)“と先生につどつど聞きまくり、「基本、お前の“あー”は全部歯医者のやつだ」とあきれられました。
翌日にたまたま行った歯医者では「はい、『あー』と口開けて」と言われて、舌をどこに置いていいか、どうやって「あー」と口を開ければいいのか、混乱してしまいました。
ビームってなに? ウルトラマンじゃないの?
英文読解の練習をしていたら、こんなフレーズに出合いました。
"I'm so pleased to see you," he beamed.
(「あなたに会えて嬉しい」と彼はビームした)
ん? 彼って、ウルトラマンかな。それともモー娘。の「セクシービーム」担当の人かな? と思いつつ、別に“beam”の意味がわからなくても話を理解するのに影響はないので読み飛ばしました。しかし以降ずっと頭の中で「彼」の顔がウルトラマンで再生されました。
beam=眩いばかりに笑う
ということだそうです。本来“beam”は「光線」の意味がありますから、もう顔から光線がでちゃってくるくらい眩しい笑顔ということでしょう。「彼」のイメージがウルトラマンから一気に、キシリトールガムのCMの羽生結弦さんに変わりました。
また“beam”には「天井のハリ」とか「まっすぐな板」という意味もあるようです。
ちなみに体操の選手の記事でこんなタイトルを見つけました。
Beaming on a balance beam
「バランスビームの上でビームする」と読めて、光線の上に乗ってビームしているウルトラマンしか浮かびませんが、「笑う」と「まっすぐな板」両方の意味で「平均台の上での眩い笑顔」ということでした。
ちなみにウルトラマンは40種類以上、みんながそれぞれ「ビーム」技を持っています。“beam”の意味がたくさんあって覚えられない、なんてウルトラマンを前にしては言えないなと思いました。
Illustration=Norio