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2021.05.31

こんな指導者がいてほしい!「偉人の生き様にリーダーシップを学ぶ1冊」

本は自分の世界を広げてくれる最高のツールであり、読書は自己の成長や共感、新たな視点を発見する機会を与えてくれます。ゲーテの書籍ページの担当であり根っからの読書愛好家のゲーテ編集部員が、リーダーシップを学ぶのにぴったりの書籍を2冊紹介します。

書影

日本を救った「ニコポン宰相」の人たらし力

『桂 太郎―日本政治史上、最高の総理大臣』(祥伝社新書1,012円)は、明治から大正にかけて活躍した政治家・桂太郎の生涯に迫った1冊。「桂太郎」という名前を聞いてピンとくる人はあまりいないかもしれません。しかし、桂は実に3度も総理大臣を経験し、国のトップとして日露戦争を勝利に導き、幕末以来の悲願であった欧米列強との不平等条約の改正を実現するなど、日本を一等国へと押し上げた稀代の指導者でした。

日露戦争が勃発したのは20世紀初頭。列強各国は我先にと植民地を追い求め、世界の覇権を争っていました。なかでもロシアは当時世界でも有数の軍事力を持つ超大国。その戦力差は圧倒的で、近代化を果たしたばかりの新興国・日本などあっという間に蹴散らすだろうと、世界中の誰もが考えていました。ひとつでも判断を間違えれば、国家の存続さえ危うくなってしまう……。そんな状況において桂は首相として戦争と対峙し、常に冷静に物事を判断して人を動かしていき日本を奇跡の勝利へと導いていきました。

桂は”ニコッ”と笑い”ポン”と肩を叩いてどんな人でも籠絡(ろうらく)してしまうため、親しみを込めて「ニコポン宰相」と呼ばれていました。また、誰にでもいい顔をして人と付き合っていくことを表す言葉に「八方美人」がありますが、桂はその上をいく「十六方美人」とまで言われていたといいます。愛嬌があって憎めない、相手の懐にスッと入り込んでいつの間にか自分のペースで物事を進めていく。桂はそんな天性の人たらし型の指導者でした。

一方で桂は、ただ人に媚びへつらっているだけの政治家ではなく、日本の未来を見据え、明確なビジョンを持ち、その実現のために総理大臣でありながら組織の潤滑油・調整役として常に駆け回っていました。曲者(くせもの)ぞろいの人材をまとめあげ、国全体を同じ方向に向かせることができたからこそ、日露戦争という未曾有の国難を乗り切ることができたのです。

日本を守り、そして日本を変えようと奮闘した桂。その壮絶な生き様がこの本には詳細に書かれています。桂は表向きには派手なリーダーではなかったかもしれません。しかし、必要な仕事は着実に、優先順位を間違えずにこなしていきました。誰もが辛い時間を過ごし、先の見えない不安に襲われている今こそ、パフォーマンスだけで終わらず、たとえ地味だとしてもやるべき仕事はきっちりとやる桂太郎のようなリーダーが求められているのだと感じます。

渋沢栄一と岩崎弥太郎。日本の未来を想い、信念を貫いたふたりのリーダー

約500もの会社の創設や経営に携わり、”日本資本主義の父”と呼ばれる渋沢栄一。三菱商会を創業し外国の汽船会社を駆逐、日本の海運を独占して”海運王”の異名をとった岩崎弥太郎。『渋沢栄一と岩崎弥太郎 日本の資本主義を築いた両雄の経営哲学』(幻冬舎新書990円)は、同時期に生まれ、一代で日本を代表する大事業家に成り上がった渋沢栄一と岩崎弥太郎の、波瀾万丈の人生と対照的な経営理念に迫った本です。

幕末の動乱期に経済官僚として活躍したふたりは、明治の世になってすぐに事業家として経営の道を歩みはじめました。しかし、そのやり方は正反対。渋沢は『論語』を経営理念とし、私利私欲のための経営ではなく、道徳心を持って「国利民福」(国家の利益と国民の幸福)を目指しました。多くの人々から資金を募り、適任者を見つけて事業を委ねる、いわゆる合本主義を好んだ渋沢とは対照的に弥太郎は、三菱の社訓に「三菱商会は会社の形態をとるが、実際は岩崎家の事業であり、多数から資本を募って結社するのとは異なる。だから会社のことはすべて社長の裁可をあおげ」と記しているように、独裁主義を貫いていきます。

経営理念は真逆ともいえる両雄ですが、経営の目的は実は同じところにありました。それは、経済を発展させて列強の爪牙(そうが)から日本の独立を守ること。ふたりが頭角を現した幕末期は、欧米列強との交易がはじまったことで物価は高騰し、人々の暮らしは苦しくなる一方で、海外から入ってきたコレラがパンデミックを起こし、同時に麻疹も大流行して多くの人命が失われるなど、コロナ禍の現在よりもさらに悲惨な状況でした。そんななか、渋沢と弥太郎は強大な列強諸国に対抗するため、日本に近代産業を早急に根付かせ発展させる必要があると考え、事業に邁進していきました。

対照的ともいえる信念を貫きながら、強いリーダーシップを発揮して日本の資本主義を牽引していった渋沢と弥太郎。このふたりの人生について知ることは、経営者としての考え方はもちろん、国難の時代だからこその人の導き方についても多くを学ぶことができるでしょう。

TEXT=宮寺拓馬(ゲーテ編集部)

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