新しい日常への順応に加え、先行きの見えない不安を常に抱えていると、心が沈んでしまう日もある。そんな時に気分を好転させてくれる、晴れやかなウイスキーがグレンモーレンジィから発売された。開発に携わったビル・ラムズデン博士、コラボレーションを行ったパティシエのドミニク・アンセル氏のインタビューと併せて、その魅力に迫る。
なぜ、グレンモーレンジィは完璧 “すぎる” のか
グレンモーレンジィ蒸留所は、1843年にスコットランドのハイランド地方に設立されて以来、長年にわたってシングルモルトの可能性を探求し続けてきた。グレンモーレンジィが “完璧すぎるウイスキー” と称される所以は、蒸留所独自のこだわりにある。ピュアな蒸気を抽出するために使用するのは、スコットランド随一の高さを有するポットスチル(蒸留器)。そのネックの高さは5.14メートルにも及ぶ。
蒸留された原酒を熟成するのは、『デザイナーカスク』と呼ばれるオリジナルの樽だ。原木のホワイトオークを2年間かけて自然乾燥した後、バーボンメーカーに貸し出し、タンニンなどの不要な要素を取り除く。熟成用の樽は、3回以上の使用が通常のところ、2回までに止めることで芳醇なバニラの風味を最大限に引き出す。
蒸留所で造られるすべてのウイスキーに携わっているのは、最高蒸留・製造責任者を務めるビル・ラムズデン博士だ。バイオケミストリー(生化学)の博士号を持つ肩書きを生かし、様々な樽を用いた実験的な試みや、追加熟成を行う。その技術は高く評価され、ウッド・マネジメントのパイオニアとして広くその名を知られている。
多くのこだわりを持ち、ウイスキーの名手も属す歴史ある名ブランドが、「どのようなウイスキーを造りたいか」という原点に立ち返り、一から創り上げたものが『グレンモーレンジィ ケーク』だ。
ウイスキーの革命児が生み出した、甘美で幸福な味わい
「これまで、所属するチームの仲間たちと、新しいウイスキー造りについて話し合いを重ねてきました。そのなかで生まれたのが、ウイスキーを飲む時の幸福感をウイスキー自体で表現する、というアイデアです。これが『グレンモーレンジィ ケーク』の出発点でした。では、楽しげなウイスキーをどのように造るのか? そのためには、誰もが共感できる幸福な瞬間を表現しなければなりません。熟考を重ねて思いついたのが、“慌ただしい日常のなかで、一息つき、何もせずにケーキを一口食べる幸福感” を表現することでした」
次に焦点となったのは、どうすれば、砂糖のような単一の甘さではなく、ケーキのような繊細で奥深い甘さを持ったウイスキーができるのか、ということだった。その答えを見つけるために、チームはトカイワインの樽を購入し、試行錯誤を繰り返した。世界三大貴腐ワインのひとつであるトカイワインは、糖度が高く、貴腐ブドウ独特の甘味が特徴的。この樽を使用し、2年以上の月日を重ね、ようやくラムズデン博士がイメージする “一息ついてケーキを食べるときの要素” がすべて詰まったウイスキー、すなわち『グレンモーレンジィ ケーク』にたどり着いた。
スイーツとのペアリングで、豊かなひとときを演出
蜂蜜やホワイトチョコレート、果実の風味が幾層にも重なり、奥深い甘さを持つ『グレンモーレンジィ ケーク』をより楽しむ方法を語るのは、ドミニク・アンセル氏。ニューヨークを中心に活躍する、気鋭のパティシエだ。
「ウイスキー単体でデザートの役割を担うこともできる『グレンモーレンジィ ケーク』ですが、スイーツとのペアリングによって、新たな側面を感じられます。ペアリングを行うときは、スイーツが『ケーク』の味を壊さぬよう、『ケーク』を一口目に。その後は交互に少量ずつ味わっていくことで、相乗効果を楽しめるでしょう」
今回のコラボレーションにあたり、ドミニク氏は『グレンモーレンジィ ケーク』のためにオリジナルスイーツを考案。レシピ集は、公式ウェブサイト上で公開中だ。
「生きるためにウイスキーやスイーツは必要ないかもしれません。ですが、1日のうちに、誰しも休息する時間や、友人や家族、大切な人と過ごす時間があるはず。ウイスキーやスイーツは、そういった特別なひとときをより豊かにするために存在すると思います」
辛く苦しい場面に直面している時期こそ、心を休ませるひとときの効用は大きい。そんな時は、幸福を象徴する『グレンモーレンジィ ケーク』と共に過ごし、英気を養いたい。