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2019.06.15

【玉袋筋太郎】ビジネスパーソンのためのスナックミシュラン<プロローグ①哲学編>

全日本スナック連盟の会長である玉袋筋太郎さんがスナックを巡り、プロの目線で、ママやお店の評価を下す新連載「スナックミシュラン」。日本列島津々浦々、スナックは全国に7万軒もあるというのに「興味はあるけど行ったことがない」なんて人も多いはず……。本連載を始める前に、まずはプロローグとして玉袋さんのスナック哲学を語ってもらった。

玉袋筋太郎氏

これからのビジネスは、SNS(スナック・ネットワーク・サービス)が重要

高度経済成長期に日本がオリンピックに向けて盛り上がってた時、そこで猛烈に働いていた人たちの縁の下の力持ちになっていたのが、スナックだったりするんだよね。そこからナイトビジネスの多様性によって水商売のど真ん中から横道にそれちゃったってのがあるんだけど、それをもう一回真ん中に戻したいって思うんですよ。

全国で約7万軒と言われているけど、全盛期に比べてドンドン減りつつあるってのもロマンを感じるじゃない? 応援したいなっていうね。自分の実家がスナックだったから、育ててもらったことに対する恩返しってものあるんだけどね。

あと、スナックは手つかずの自然だと思ったんだよね。まさに、知床だよ。そこで暮らす動植物がママやお客さんなんだけど、「なんだこれ、誰もスナックに注目してねえな」って気づいたんだよね。これだけ人間同士の触れ合いがあって、コミュニケーションツールが発達しているにもかかわらず、お店で知らぬものが集まって小皿叩いてチャンチキお袈裟みたいな空気って、今のビジネスに使えるね! って思ったわけですよ。

そうそう、堀江貴文さんもスナックを推してくれているんだよね。まぁ、堀江さんは直接的にスナックをやりたいわけじゃないんだろうけど(笑)。要するに、ああいう人間関係の中に、人と人を繋ぐ、俺がよく言っているSNS(スナック・ネットワーク・サービス)があるってことなんじゃないかなと感じるんですよね。

実家がスナックだった玉袋さん。

実家がスナックだった玉袋さん。スナックへの愛は日本一です。

昭和にはあった相席文化のハッピー感

昭和が過ぎて個室文化が増えちゃったじゃないですか。居酒屋でも個室とか、カラオケボックスとか……。別にそれを否定はしないんだけど、昭和の時代には相席文化があったんだよね。昼飯に家族でラーメン屋行っても、混んじゃってて「相席いいですか」つってさ。あれを嫌って言う人は、それはそれで構わないけど、俺はなんかそこで(席を譲る仕草をして)「あ、いいよ」っていう感じが好きなんだよね。それがスナックには、すごい数あるんですよ。

オレの店(スナック玉ちゃん)もオープンして2年ちょっとだけど、もともとスナックやってたわけじゃないから、最初は常連さんなんていなかったわけじゃないですか。だけど、2年の間にいろんなお客様がきてくださって、その人同士が仲良くなっちゃったりして。1年前は全然知らない人が常連の誕生日の時にみんな集まってハッピーバースデーやってるっていうね、なにこのハッピー感!!って、すごく満たされたね。

経営するスナック玉ちゃん赤坂店。

経営するスナック玉ちゃん赤坂店。週に1度は必ず顏を出す。

名DJとネタの宝庫‼

あと、オレもよくひとりでも飲みに行くんだけど、なんかこう、他のお客さんの会話を聞いてるのが好きなんですよ。そこら中に素晴らしいDJ(ディスクジョッキー)がいるわけですよ。そういう喋り手の話に耳を傾けて、”おもれーな、おもれーな”って帰るのもありなんだよね。たくさんで来て騒ぐお客さんもいるけど、ひとりで来て俯瞰で見てるお客さんもいたりするので。いろんな種類のお客さんと会えるのがおもしろいよね。ネタの宝庫だもんね。

取材開始から25分後。

取材開始から25分後。「すいません、ちょっとビールいいですか?」

スナックは故郷との架け橋になる

あとさ、地方から東京出てきて仕事やってさ、実家に帰らなくて親父と溝ができてるってあるでしょ。しばらく会話もしてないし、帰りたくもないと思うんだよね。実家に帰っても親父と話すきっかけがないんだよ。でもさ、人間って心のどこかには故郷が残ってるわけですよ。そこで、スナックにいけば親父と同じ年代のお客さんがいるから、その人たちと話すのよ。そうしたら、だいたいは親父と年代が一緒だから、その人の若い頃の話とか聞くとさ、親父と同じ文化に触れているから何か心にメモれるよね。それを持って実家に帰った時に親父とか家族と会話をすると繋がるんだよ、ガチャーンとね!

オレは35歳の時に親父が65で死んじゃったんだよね。仕事も少しよくなってきてて、これから親父と酒が飲めるんだなと思ってた矢先にさ。親父と対して酒のめないうちに死んじゃったから、”親父ロス”みたいなとこがあるんだよね。でもスナックに行くと、俺の親父と同じ昭和12年生まれのお爺ちゃんとかと飲めるのよ。もちろん、見た目も育ってきた環境とかも違うんだけど、一緒に飲んでるとなんか親父と飲んでる感じになってくるんだよね。それがなんか嬉しいんだよ。

そういうメンタルのささくれだった部分を滑らかにしてくれる力が、スナックにはある。いいサンドペーパー的な部分があると思うんだよね。

ぐびっと一口。

ぐびっと一口。(午後4時半)

スナックは旅のリアルガイドブックになる

日本全国に約7万軒、スナックがない県なんてほとんどないんだからさ。『るるぶ』見て、昼は美味しい海鮮丼食って、温泉つかってね。私はそこの土地を補完したと思っている人がいるんだろうけど、そうじゃねえって。やっぱ、夜、その土地のスナックに行って地元の人の話を聞く。そうすることによって旅はすべて補完できる。オレはそう思うんだよね。やっぱ違うもんね。

俺も若かった頃さ、ガイドブック読んでさ、そういうとこに載っている海鮮丼なんか食ってさ、みんなで”うめーうめー”なんて言ってさ。で、夜にスナックに飛び込みで繰り出したわけよ。そこでママと話してさ。

「いやー、やっぱ伊東は海の幸が旨いね、昼間どこどこに行ったんだよ」なんて言ったらさ、「だめー、玉ちゃん、そんなとこ地元の人だれも行かないわよ」ってリアルなグルメ情報が入るよね。そうしたら次に来た時にそこ行けばいいわけだよね。お店にボトルキープもするけど、その土地土地に何か残してきたものがあるから、”あぁ、もう一回行きてーな”と思えるものが見つかるっていいじゃない。

一曲、熱唱。

一曲、熱唱。

いつの時代も変わらず美しいスナックのママ

あとまあ、変わらないってのがいいよね。時代がインターネットの時代になってきてるけど、スナックは何も変わってねえんじゃねえかな。8割ガラケーだし、9割離婚してるしね(笑)。ママってみんなそうなわけじゃん。離婚して子供引き取って、生きるためにスナック始めてる人が多いんだよね。でも、そこがまた素敵じゃない?

みんな身の丈で暮らしてんのよ。そんな「わたし高級車に乗りたいの」なんてママ、いないのよ。家賃払えて、子供を育てられるだけでいいっていう人たちの集まり。だから純だよね。そこがまた好きなんだよね。欲深くなくて美しいんだよ。

だから、実はスナックのママこそが、ベンチャーでかっこいいんだってのをこの「ゲーテ」から発信していきたいよね。

いい感じに完成。

いい感じに完成。(午後6時)

 

②実践編に続く!

COMPOSITION=河合昇平(コレロ)

TEXT=吉田タカユキ

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