スポーツ選手がそれぞれの競技で勝負するように、ビジネスパーソンは仕事で勝ちに行く。あらゆるシーンでスピードやタフネスが求められる現代のビジネスシーンでは、機敏に動ける俊敏性や瞬発力、ハードワークに負けないスタミナ、咄嗟の判断を下す反射神経、さらにはストレスに打ち勝つ持久力やメンタリティまで、求められる能力は、スポーツに向かうそれと何ら変わらない。実際、吉田輝幸トレーナーのもとには、メジャーリーガーをはじめとする世界レベルのアスリートのみならず、メディアで著名な経営者やビジネスパーソンがこぞって通う。「違い」がわかっているからだ。【吉田輝幸の目指せ!ビジネスアスリート⑩】
大事なのは、筋トレよりも"プライオ
スポーツ選手はそれぞれの競技で戦い、ビジネスパーソンは仕事で勝負する。そんなビジネスアスリートとしての勝てる体は、単に筋トレやランニングのルーティンだけでは決して得られない。超時間のハードワークにタフなプレゼンや交渉ごと、緊急の問題解決に速さが問われる行動力など、求められるのは「ビジネス」スキルではありながら、瞬発力、持久力、スピードに反射神経といった肉体の持つ機能、それも多岐にわたる能力にほかならないからだ。
こうした多角的な力を高めるために、必要なのは「6つの歯車」。
① コレクティブエクササイズ/体のクセや機能不全を改善して正しい使い方に導く
② レジスタンストレーニング/筋肉増加&筋力アップのための筋トレ
③プライオメトリクス&ムーブメント/瞬発力を高めて瞬時にパワーを出せる体に
④ ESD/心肺機能を高め、少ない労力でラクに動ける効率性向上
⑤ リ・ジェネレーション/疲労回復のためのストレッチや筋膜リリース
⑥ ニュートリション/体づくりのための良質な食事
このうち、瞬発力と弾性を高める③「プライオメトリクス&ムーブメント」のメニューを重点的に紹介する。プライオメトリクストレーニングは、ジャンプなどの瞬間的なパワーを発揮させる動きによって、筋肉の瞬発力を高めるトレーニング。陸上の短距離走のスタートダッシュや、瞬時の方向転換が必要なサッカーなど、スポーツで効果を発揮するのはもちろんだが、日常の動作にも不可欠なものだという。
「歩く、走る、止まる、曲がるといった日常の基本的な動作(ムーブメント)もすべて、自分の体の筋力だけではなく、地面からの反発力を使って動いています。これがうまく使えるようになれば、余計な力は使わなくてもスムーズに動けて、大きな力を生み出せます。力任せに動いてケガをするといったトラブルも防げるのです」(吉田さん)
中心となるのは、日常生活でほとんどすることのないジャンプという動作。トレーニングに取り入れている人も少ないだろう。ところが,吉田さんは「筋トレよりプライオですよ」。
「いくら筋肉を大きくしても、それを使ってバネで動けないんじゃ意味がない。日頃ビジネスシーンで全身の筋力を振り絞ったり、重いものを持ち続けるようなシーンが一体どれだけあるでしょう。それよりも必要なのは、身軽に動ける敏捷性や、正しい姿勢や体の使い方、ハードな毎日でも疲れ知らずの生き生きとした体では?」
そこで、バネの反発力で効率的に動く方法、逆に言えば「余計な力のそぎ落とし方」が身につくのが、プライオメトリクス&ムーブメントだ。今回行うのは全速力で左右にジャンプする「サイド トゥ サイド」。横方向への動作のスムーズな切り替え運動で、敏捷性をアップ。キレのある動きを目指そう。
▼サイド トゥ サイド(全速力で5秒程度)
Teruyuki Yoshida
パフォーマンス、スペシャリスト。トレーナー歴25年で数多くのトップアスリート指導からヒントを得て最短で最大の効果を出せる「コアパフォーマンス®︎」を考案し、数多くのトップアスリートやアーティスト、ビジネスパーソンのトレーニング指導をおこなっている。
Illustration=NORIO