スポ-ツ選手の使命が試合で勝つことなら、ビジネスパーソンのそれは、仕事で成果を上げること。そんな「ビジネスアスリート」に必要な、機敏に動ける体づくりのメソッドをEXILEフィジカルコーチにして名だたる経営者たちのトレーニングも担う吉田輝幸さんが紹介する本連載。人の体の動きの根源(コア)である「赤ちゃんの動きのトレーニング」×「筋トレ」×「機能的なムーブメント」の組み合わせで、最短で最大の効果を生む最先端トレーニングを紹介する。今回は、すべての肉体活動の基本となる「呼吸の改革」うつぶせ編。
仰向け呼吸とうつぶせ呼吸はセット
生命活動の基本であり、運動するうえでも、また日常のなかでビジネスにあたるにも欠かせない呼吸。前回は、人間が本来持ち得た深い腹式呼吸を、寝そべって仰向けで行う呼吸法をお伝えした。今回は、そのうつぶせ編。この2つはセットで行うとよい。吉田輝幸コーチによると、
「どちらか一方がやりにくいと気づく人も多いはずです。腹部と背中、四肢や肩などの右と左、そうした部位の上げ下げや、屈曲、伸長といった動きについても、多くの人が偏った使い方をしてしまっており、それがクセになっているもの。そのまま続けているとその部分だけ負担が増して、怪我や故障のもとになります。体の動かし方に何のクセもつかないように、相対する動きを両方行いバランスよく整えます」
うつぶせ呼吸では特に、普段は意識しづらい背中にも空気が入って膨らむ感覚をつかみとる。息を吸って腹部が床を押すように膨らむと同時に背骨が自然に持ち上がり、腰から背中にかけても動きやすくなる。腹部の横隔膜が下腹のほうに下がるとともに、胸郭(肋骨)が開いて肺に空気が送り込まれると、それに合わせて背中の上部や肩甲骨が動くこともわかるだろう。
「このように横隔膜や胸郭を使った深い呼吸を、普段無意識に行っている安静時呼吸の中でも行えるようになることが大切です。すると、運動したときなど、より大きく呼吸する際に、吸気では斜角筋などの首の筋肉、呼気では内肋間筋や内外腹斜筋といった呼吸を助ける呼吸補助筋が機能しやすくなります。より多くの部位を使って正しい呼吸ができるようになり、全身の機能アップにつながります」
▼ブリージング(うつぶせ)
目的:横隔膜・胸郭を稼働させ、インナーマッスルを起動
部位:横隔膜、胸郭、腹部全面、背筋
〈回数の目安〉5~10回/1~2分
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Teruyuki Yoshida
パフォーマンス、スペシャリスト。トレーナー歴25年で数多くのトップアスリート指導からヒントを得て最短で最大の効果を出せる「コアパフォーマンス®︎」を考案し、数多くのトップアスリートやアーティスト、ビジネスパーソンのトレーニング指導をおこなっている。