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GOLF

2022.11.13

米シニア歴代最多勝利タイに王手をかけた65歳の鉄人を知ってるか? 

50歳以上のプロが出場する米シニアが今、アツい! 注目すべきは、ベルンハルト・ランガーだ。

ベルンハルト・ランガー

最年長優勝記録を持つベルンハルト・ランガーとは

米シニアのPGAツアーチャンピオンズで、最年長優勝記録を更新し続けるベルンハルト・ランガーが、また記録を更新した。

2022年11月第1週に開催されたプレーオフ第2戦目ティンバーテック選手権に出場したランガーは通算17アンダーのスコアで優勝し、自身の持つ最年長優勝記録を65歳2ヵ月に更新。これでツアー通算44勝となり、ヘール・アーウィンの米シニアツアー歴代最多優勝記録45勝まで、あと1勝と迫る。今季の米シニアツアーは最終戦を残すのみとなり、さらに1勝を積み重ねるのは難しいかもしれないが、来期の歴代最多勝利数タイの45勝目、さらに記録更新の46勝目も十分可能と思わせる試合内容だった。

2日目に圧巻のエージシュート

’22年11月4日に米フロリダ州のロイヤル・パーム・ヨット&CCで始まったティンバーテック選手権で、ランガーは初日に1アンダー7位タイでスタート。2日目にエージシュート(プレーヤー自身の年齢と同じ、もしくは年齢以下のスコアで18ホールを回りきること)の63を記録して通算11アンダーの単独首位に立つと、そのまま通算17アンダーで優勝した。最終的には2位に6打差をつける圧勝だった。

試合中に目を引いたのはパッティングの正確さだ。特に2日目は勝負どころのミドルパットをことごとくカップインさせ、10バーディー1ボギーと完璧な内容だった。ランガーはパッティングの際は、長年長尺パターを愛用していのだが、長尺パターは振り子運動によってストローク軌道が安定するため、ショートパットで恩恵を受けることができる。だが、ミドルパットやロングパットでは手の感覚を伝えることが難しいため、距離を合わせることが難しい。しかし、ランガーはまるで自分の手のように長尺パターを操り、ロングパットでも常にカップを30cmオーバーする絶妙な距離感を見せた。

ランガーのパッティングの距離感が素晴らしい理由は、どんな距離でも一定のテンポでパターをストロークしているからだ。テンポが一定であれば、あとは振り幅で距離を合わせることができる。アマチュアゴルファーの多くは距離が遠くなると、強めに打とうとしてストロークが速くなりがちだが、どんな距離でもテンポを一定にすることを心がけることでタッチを合わせることができるようになる。

無欲のコースマネジメントがスコアをまとめる

2日目のエージシュートで、かなり心に余裕ができたのだろう。最終日のランガーは終始落ち着いて、無理をせずにプレーしているように見えた。象徴的なのは、最終日の15番パー3でのプレーだ。

ランガーを追う今大会のディフェンディングチャンピオンで賞金ランキング1位のスティーブ・アルカーと、逆転年間王者を狙う賞金ランキング2位のパドレイグ・ハリントンはピンをデッドに狙ったのだが、二人とも左からの風に流されて右手前の池に入れてしまった。一方のランガーはグリーンセンターを狙って安全策を取ったところ、想定より強い風の影響を受けてボールが流され、ベタピンに付けた。これにはランガー本人も驚いていたが、この結果は大きなリードによる余裕があるなかでプレーしていたからもたらされたものだろう。

この対照的なシーンから、ゴルフはアグレッシブに攻めれば良い結果が出るとは限らないということを改めて感じた。特に心に余裕がない状況で攻めるというのはリスクが伴う。アルカーは今大会で優勝すれば年間王者が確定、2位~5位の上位フィニッシュでも賞金ランク2位のハリントン次第では年間王者のタイトルを獲得できる状況だった。その焦りからか、打ち直しの3打目も池に入れてしまい上位フィニッシュもかなわなかった。ハリントンも優勝なら最終戦で逆転年間王者の可能性が高くなるため果敢にピンを攻めたが報われなかった。無欲で安全策をとったランガーがバーディーを獲り、リードを広げて優勝を決定的にする皮肉な結果となった。

来季の記録更新に期待

昨季のランガーは年間王者を獲得したものの優勝は1回にとどまり、今シーズンは序盤に勝利を挙げたものの、シーズン中盤には最終日に失速する試合があるなど衰えを感じさせる場面もあった。歴代最多優勝記録の達成は難しいのではないかとの見方もあったが、これで歴代最多勝利数タイ記録に王手をかけ、来季での記録更新も現実味を帯びてきた。

来年66歳のランガーが距離の長いコースで開催される試合で勝つことは少し難しいかもしれない。しかし、今大会のように距離の短いコースで、池やハザードなどが配置された技術や経験が生きる難易度の高い戦略的なコースなら、50代のルーキーにも決して引けをとらないはずだ。

シニアツアープロと同じ50代以上のアマチュアゴルファーのなかには、筋力や柔軟性が落ちていることを実感している人もいると思う。しかし、他のスポーツと異なり、ゴルフがパワーやスピードで戦うスポーツではない。ランガーのようにパッティングやコースマネジメントでスコアをまとめることができれば、自分よりも若いゴルファーよりも良いスコアでラウンドすることができるのがゴルフというスポーツだ。

ぜひ一度、米シニアツアーの熟練した技を持つプロゴルファーたちの戦いぶりを見てほしい。きっと、上達のヒントが見つかるはずだ。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=Matthew Harris/アフロスポーツ

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