「アプローチ&パターで20打縮める」をテーマに、鈴木愛らツアープロのコーチも行う達人・南秀樹のゴルフ術を披露する、連載「20打縮める! 南秀樹流ショートゲームレッスン」Vol.2。アプローチ編2回目は、アドレス。【過去の連載記事】
【南秀樹流アプローチ編2.アドレス】
グリップの握り方を習得したら次はアドレスです。
具体的な構え方の話をする前に大前提として頭に入れておいてもらいたいのは、アドレスはクラブのライ角が基準になるということです。クラブに関する話は改めてさせてもらいますが、自分の身長などに対してクラブのライ角を合わせることが重要なのです。そこで正しいチョイスができていれば、あとはライ角通りに構えるだけ。間違ったアドレスになることはありません。
まずアドレスでポイントになるのがお尻の位置です。お尻の位置は高くするイメージで構えてください。背中が丸まったり、膝が前に出るような構え方ではスムーズな体の動きを妨げてしまいます。要するに手打ちになるということです。
アプローチは振り幅が小さいので、手先の動きだけでも上手く打てることがありますが、あくまでも延長線上にはショットがあるわけで、アプローチでもしっかり体を使える構えを作らなければ、距離感は出せないし、スピンコントロールをすることもできません。スタート地点となるアドレスは精度を左右する最も大切な部分なのです。
膝は軽く曲げた状態で、背中は反りすぎずに適度に伸びた状態にする。すると自然とお尻の位置は高くなるはずです。
手元のポジションは基本的にはグリップエンドとお腹の間に拳が2つ入る程度の位置で構えます。
アドレスに関する体型別のポイントとして、まず身長が高い人はアドレスが小さくなりがちです。ボールに対して上から覆いかぶさるようにして構える傾向があります。理由としては、フルスイングできるショットとは違って、ボールに当てたいという気持ちが強くなるからです。アプローチになると胸とボールとの距離が異常に遠くに感じて、結果小さい構えになってしまう。その構えになると手先の動きだけで打つしかなくなります。身長が高い人は、目線を高くして顎でボールを見るような感覚で構えるといいでしょう。頭の位置が下がらないように注意してください。心理的にはクラブを短く持ちたくなりますが、身長が高い人はアプローチだからと言ってクラブを短く持つ必要はありません。
逆に身長が低めの人の注意点はグリップエンドの位置です。クラブを短く持つことは必要になりますが、体の真ん中にグリップエンドをセットしてしまうとスムーズに体の回転ができなくなります。グリップエンドはやや体の左側を向ける感じで左腕とクラブが一直線になるように構えます。振り方としては身長が高い人も低い人も同じですが、比較すると身長が低い人の方が体の前の懐が狭くなるので、グリップエンドを意図的に左側に逃しておくことで体の動きとクラブの動きが同調しやすくなるのです。
Hideki Minami
1974年香川県生まれ。プロゴルファーである父の影響でゴルフをはじめ、独自の理論を構築。道具(クラブ)を使うことを主とする指導法は高い評価を得ている。また、幼少の頃から鈴木愛プロを指導してきたことは有名な話で、今季から正式にコーチとして契約。木村彩子、岡山絵里ら多くのプロゴルファーをサポートしている。「南秀樹=パッティング」というイメージが強くついたが、実は最も得意とするのはアプローチだ。その技術力はジュニア時代から指導を受けてきた鈴木愛も認めるところ。「パッティングを含めたグリーン周りのショートゲーム力をアップさせることは、スコアアップの最短距離を辿ることになります。パッティングとアプローチの自信を深めることはショットに好影響を及ぼします。また、技術的にもアプローチはショットにつながるため、ゴルフスイングの基礎として正しい動きをマスターしておくべきなのです。そうすれば20打を縮めることも夢ではありません」。
【アプローチ編】
1:グリップの握り方
2:アドレス
3:スタンス
4:アプローチ名人の共通点(距離感の出し方)
5:正しいウェッジの選び方(ソールとバンスの関係性)
6:リズムとテンポの違い
7:状況別判断(クラブのチョイスの仕方)
8:状況別テクニック(ライ別の打ち方)
9:ラフからのアプローチ術
10:現代の主流は高さで止めるアプローチ