GOLF

2021.07.09

利き手を使うな! パットが安定するグリップ【動画付き】

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム150回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。

プロも頭を悩ませる右手の使い方

パッティングを苦手にしているゴルファーの多くは、利き手を使いすぎる傾向にある。先日一緒にラウンドをしたAさんは典型的な利き手を使いすぎたパッティングストロークをしていた。インパクトからフォローにかけて過度に右手を使ってストロークするため、右手首の角度がほどけ、左手首が大きく甲側に折れていた。

Aさんのように利き手である右手を使いすぎてしまうと、右手首の角度が変わることで、フェースの向きや軌道が狂ってしまう。特にこのような打ち方ではすくい打ちになってしまうため、過度なアッパー軌道になることでボールの回転が不適切になり転がりが悪くなる。このように右手を使いすぎることで、カップインの確率は低くなり、距離感も合わなくなる。

しかし、右手を使い過ぎるのは、なにもアマチュアだけの話ではない。プロでも緊張した場面で右手を使いすぎてしまうことがあるため、プロもさまざまな工夫を凝らして右手の使い過ぎを抑えようとしている。そのうちの1つがクローグリップと呼ばれる握り方で、PGAツアーでは、ジャスティン・ローズやトミー・フリートウッドなどが採用している。

クローとは、英語でタカなどのかぎ爪のことで、かぎ爪で物をつかむようにグリップすることから名前が付けられた。指先だけでグリップに添えるような形になるので、利き手を使いすぎたり、余分な力が入るのを防げるグリップだ。

自分のミスや感覚に合わせて右手を添える

クローグリップにはさまざまな種類があり、人それぞれのタイプによってグリップの仕方に違いがある。ストロークのタイプや右手を使う感覚が人によって異なるので、自分に合ったタイプのクローグリップを採用する必要がある。

クローグリップは大きく分けて、利き手を「上から添える方法」と「下からあてがう方法」の2つの形に分けられる。自分のストロークタイプやミスの傾向によって、右手を上から持つか、下から持つかを決めるといいだろう。

プッシュしてしまう人は、フェースが開く傾向があるので、フォローでヘッドがスムーズに目標方向へ出やすい「上から添える方法」が向いている。手のひらが自分の体の方を向くので、手のひらを目標に押し出す動きを防ぎ、スムーズにイントゥイン軌道のストロークを行うことができる。

一方、下からあてがう方法は、ヘッドの動きが多くヒッカケやすい人に向いているだろう。下からグリップするとヘッドの動きが抑えられるので、フェースの開閉が少なくなり、フォローでまっすぐヘッドを出しやすくなるため、ヒッカケが抑えることができる。

クローグリップは握り方によって、かなり感覚が異なるので、いろいろと試して自分に合った方法を採用してほしい。その際、どちらのグリップも左手は手のひらで握るノーマルグリップにし、左手と体の動きを連動させてパターをコントロールすることは共通となる。

クローグリップをマスターするための練習として、クローグリップで握っている利き手で片手打ちを行ってみてほしい。クローグリップは指先で握っているので、利き手とはいえ片手でパターをコントロールすることが難しい。この練習では手先でパターをコントロールするのではなく、体の動きでストロークすることをマスターしてほしい。右手はあくまでもクラブを支えるだけで、上半身を使ったストロークのサポートをするだけだ。右手はアドレスの位置から動かさないイメージを持ち、胸郭を中心とした肩を上下させるような動きによって腕や手が動かされるフィーリングを感じてほしい。手先はあくまでも脇役で、主役は体になる。このパッティングストロークのメカニズムを体に覚え込ませることができれば、右手の使い過ぎを抑えることができる。

利き手に力が入ってしまったり、使いすぎてしまうという人は、一度、クローグリップを試してみてはどうだろうか。クローグリップで右手の動きを抑えることができれば、ストロークが安定することで方向性と距離感が向上し、グリーンに上がるのが楽しくなるだろう。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林 司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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