世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム140回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
「入れたい」という意識がミスを招く
パー4のアプローチショットをカップまで2メートルの距離まで寄せ、これが入ればパーという状況になった時、あなたはどのように考えるだろうか? 多くの人は「このパットを入れたい」と思うはずだ。カップインしたいと思うのは当然のことなのだが、アマチュアにとって「このパットを入れたい」という気持ちが強すぎると、落とし穴にハマってしまうことがある。
プロでも2メートルの距離からカップインする確率は50~60%。残り1メートルでも100%入る距離ではない。プロでも外すことのある距離を、確実に入れられるというアマチュアはほとんどいないだろう。実際、スコアが90くらいのアマチュアは2メートルの距離なら30%、1メートルでも60%入ればいい方だろう。このような距離を「絶対に入れたい」と狙うあまり、力が入り過ぎて、とんでもないオーバーやショートをしてしまうことがある。そんなミスをしてしまうと、1パットどころか、3パットになってしまうという残念な結果になる。
チャンスを逃したくないと気持ちから、積極的に狙いたくなる気持ちはわからないでもないが、ここはカップインしたいという気持ちを抑えて冷静に対応する必要がある。
ボールを止める場所を意識する
2メートル前後の短いパッティングでは、フックライン、スライスラインといった横の曲がりを気にすることが多いと思う。横の曲がりに比べて、縦の距離感を気にする人は少ないと思うが、横の曲がり幅はボールの転がるスピードで決まるため、縦の距離感が合っていなければ曲がり幅を読み通りに打つことはできない。ラインを読み通りに打つためには、常にカップから30センチほどオーバーするようにボールスピードをコントロールすることが必要になる。
距離感を合わせる上で大事になるのが、ボールを止める位置をイメージすることだ。ボールがカップに入るかどうかは、傾斜や芝目によってコントロールできない。だが、ボールを止める位置をイメージし、ボールが転がるスピードをコントローすることはできる。カップを30センチオーバーした位置にボールを止められるように、ボールの転がるスピードをイメージしてストロークをする。そうした意識を持てば、力んでオーバーしたり、逆に打ち損ねてショートしたりしてしまうことも少なくなるし、左右の曲がりを読み通りに打てるのでカップインの確率も高まる。まずは、練習グリーンでボールを止める位置を意識して、手でボールを転がしてみよう。ボールは最初は勢い良く転がり、徐々に減速して止まる。この加速と減速のスピードを意識して、ボールを思ったところに止められるようになれば距離感が養われ、パッティングの距離感も良くなっていくだろう。
このターゲットの意識は、パッティングだけでなく、アプローチでも重要だ。ボールの落としどころがあいまいになると、グリーンに対してショートやオーバーをしてしまうことがある。やはり、これも寄せたいという気持ちが先行してしまい、狙うべき目標があいまいになってしまうためだ。ボールを止める場所を意識し、逆算してボールをキャリーさせる場所やボールの高さやスピード、スピン量を考えるようにするといいだろう。
ゴルフはボールをカップに入れることが目的のゲームだが、あくまでもカップインするということは結果であり、自分でコントロールできることではない。適切なターゲット設定をし、そこに至るまでの過程に集中すれば、おのずと結果はついてくるだろう。
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