世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム77回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
バウンスを使い砂ではじき出す
バンカーショットが苦手なアマチュアの多くは「球が上がらない」という悩みを持っている。打ち出し角を高くするために手先を使ってボールの下からすくい打とうとするが、ボールと砂の間には隙間がないため、リーディングエッジでボールをつつく形になりトップ(いわゆるホームラン)が出てしまう。もしくは下からすくい打とうとすることでダウンスイングで右肩が下がり、ボールのはるか手前にヘッドが落ち、砂の中にヘッドが埋もれてしまう。上げようという意識が強いほどこれらのミスが出やすくなり、「ホームラン」か「ザックリ」かという結果になりがちだ。
バンカーショットはフェース面でボールをすくうのではなく、ボールの下の砂をはじくことでボールを押し出すものだ。このコンタクトする対象をボールではなく砂だと認識することで、ミスショットが減る人も多くいる。
砂を押し出すのはフェース面ではなく、ソール部分の出っ張った部分であるバウンスだ。この底面で砂を上から叩くことで、周りの砂がはじかれてそれに乗ってボールが飛び出していく。だからインパクトで意識するのはクラブのフェース面ではなく底面だ。
実はアプローチもバウンスが大事
このバウンスを意識した打ち方。実はバンカーショットだけではなく、通常のアプローチでも有効だ。リーディングエッジよりバウンスを先に接地させられれば、ヘッドが地面に刺さることはない。そのためにはハンドファーストの意識をなくすことがポイントだ。ハンドファーストにすると、ダウンスイングでリーディングエッジが先行して下りてきやすく、バウンスより先に接地してザックリになってしまう。
アプローチは目標が近いぶんフェース面でボールを運ぶ意識が強くなりがちだが、底のバウンス部分で地面の上をすべらせるイメージを持つとよい。多少ボールの手前にヘッドが落ちたとしても、ソール部分が芝の上を滑りボールを拾うように動いてくれる。
バンスのイメージをつかむために利き手を使ってシャドースイングをしてほしい。机やテーブルを地面、利き手をクラブヘッドに見立てて甲側を滑らせてみよう。この時に手の甲が加速しながら接地することがポイントだ。上から「ドン」でもなく、横から「サラッ」でもなく、斜め上から「トンッ」という音がするように力強く加速しながら手の甲をテーブルに当てていくことでバンスを使うイメージが出るだろう。
バンカーショットもアプローチも、フェースでボールを拾うのではなく、バウンスを使う意識を持つとミスの確率は格段に減っていくだろう。