世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム75回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
なぜタテの動きが回転を速くすることにつながるのか?
地面からの反動の力を使い体を高速で回転させる、地面反力を使ったスイング。飛ばしのトレンドではあるが「上下」のエネルギーが「回転」に転換されるという点が、なかなか理解されにくい。そこで簡単ではあるが改めて仕組みを説明したいと思う。
地面を踏み込むと反動の力が生まれる。垂直飛びをするとき、地面を押すことで上方向へのエネルギーが発生し、結果として高く飛ぶことができるのと同じ原理である。これが地面反力だ。
ここからが本題。「タテの地面反力」→「体の回転」の仕組みを理解するには今までとは異なる軸回転のイメージを持つ必要がある。通常、軸回転をイメージすると頭から地面に向かって伸びる垂直の軸を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、ゴルフの軸回転には3つの軸が存在する。ここでは3つの軸のうちの一つ、「前後軸」をイメージしてほしい。まず、上半身を地面と平行になるまで前傾させ、両肩を結んだラインをシーソーに見立ててほしい。支点となるのは両肩の中心である背骨だ。ダウンスイングで左足に生まれた反力は、左サイドを引っ張り上げ右サイドはその反作用で下方向に引き下ろされる。両肩が背骨を中心に高速に右回転する。これがタテの力が回転の速さに転換される仕組みだ。
ポイントは支点と前傾角度の維持
地面反力は垂直飛びと同じ仕組みなので、それを生み出すこと自体は誰でもできる。しかし体の回転に変換するためには、外してはいけないポイントがある。支点と前傾角度を維持することだ。
シーソーを動かすとき支点がズレると伝わる力が弱くなってしまう。支点となる胸椎下部が左右に動かないように注意したい。また前傾角度が起き上がってしまうと、発生した地面反力が引っ張り上げる力に転換されずに逃げてしまう。
体感するために前傾角度を深くして体を回転させてみてほしい。その時に胴体部分を自分で回転させるのではなく足の動きで回転させる意識を持つようにしたい。下半身を止めて体を回転させると苦しく、回転しづらく感じることだろう。左足を踏み込み、その反力によって左足が伸ばされる動きに合わせて上半身が回転する感覚をつかむ。足の動きで上半身を回転させる仕組みが理解できれば、左肩は勢いのついたシーソーのように跳ね上がり、クラブを高速で振ることができるだろう。