GOLF

2019.12.13

手打ちにサヨナラできる"運動連鎖体感動作"【ゴルフレッスン】

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム74回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。

吉田洋一郎

動かす順番が大事

アマチュアはプロと違って、筋力トレーニングや体のメンテナンスなどに時間を割くことができない。そこで大事にしてほしいのが、効率よく力を出すということだ。筋力がなくても、また年を重ねてパワーが落ちてきても、効率を追求していくことでエネルギー出力は上がる。

効率よく力を出すには、動かす順番がもっとも重要だ。クラブフェースの向きやクラブの軌道など、一つ一つの動きのポジションを最適化していく作業はもちろん大事だ。しかし、動かす順番を改善することでそれらの要素が自然と改善する場合があるほどスイング全体に大きな影響を与える。

打つ、投げるといった全身運動は、基本的に下半身から始動し、その動きが上半身へと移っていく。動きの分かりやすい野球を例に挙げると、投げるときも打つときも左足を上げて目標方向に向けて踏み込み、連動するように腰が回って最後に作用点の手が動く。この一連の動きを運動連鎖といい、この動きの連鎖が効率的に力を出すには欠かせない。

歩きながら腕を振る

人はどうしても日ごろ使っている手などの末端部分に力を入れがちだ。ゴルフでいうところの手打ちは、連鎖ができておらず腕や手だけを動かして、力を出し切れていない例といえる。まずは運動連鎖というものがどんなものなのかを体感してみてほしい。

ゴルフのスイングは動きが複雑で、さらに癖で凝り固まっている可能性があるので、まずは日常動作のなかで意識をしてみよう。例えばバケツいっぱいに入った水を撒くとき。重たいので腕だけでは遠くに水を撒くことはできない。下半身を使って体を揺らすようにして、最後に腕に力を伝える。他にもシャベルで土を持ち上げるときも、運動連鎖をイメージしやすい。こちらも手を上下させるだけでは、持ち上げるときの力が足りないので、ひざを曲げてお尻→上半身の順番で、最後に腕が持ち上がるはずだ。

ではゴルフのスイングに置き換えてみよう。まずは歩きながら腕を振る体操からはじめる。少しだけ前傾角度を作り、腕が吊られているように脱力させる。そしてゆっくりと歩き、右足を踏み出した後に右に腕が振られ、次に左足を踏み出した後に腕が振り戻ってくるように、歩きながら腕を揺らす動作を試してみよう。両肩から下を完全に脱力させ、腕が揺られる状態になっていることがポイントだ。

これができたらショートアイアンを持って、同じように歩きながらクラブを振ってみよう。クラブを持つと手やクラブに意識が向いてしまうが、ここでは下半身に意識を向けて足の動きにつられて体やクラブが動く感覚を養ってほしい。常に足が先行して動くように意識してほしい。タイミングが取りづらかったり、腕で加速をさせていると感じたらまた腕振りの体操にもどる。このように動かす順番を変えることで、格段に飛距離がアップするかもしれない。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林 司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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