世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム47回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
入射角が急だとヘッドが地面に刺さる
スライサーは球が曲がってスコアをまとめられなかったりショットで飛距離をロスするだけでなく、アプローチでもミスを起こしやすい。インパクト手前でヘッドが地面に刺さってしまうザックリのミスだ。
切り返しからアウトサイドイン軌道でヘッドが下りてくるスライサーは、ヘッドの入射角が急(垂直に近い角度)になりがちになる。ボールにクリーンにコンタクトできるメリットはあるが、ヘッドがボールにコンタクトできるポイントがごく狭い1点に限られてしまうというデメリットもある。打点が少しでも手前になればヘッドが地面に刺さり、フェースはボールにコンタクトすることができない。これがスライサーに起こりがちなアプローチのミスだ。
このようなシビアなインパクトを追求することは、練習量が少ないアマチュアにとって賢明な選択肢とは言えない。それよりはある程度、ヘッドがボールの手前に落ちたとしても、ヘッドが地面に突き刺さらずボールを拾ってくれるようなインパクトを目指すべきだ。そのためにはヘッドの入射角をゆるやかにする必要がある。
カギは手首のリリースにあり
ダフリやトップに悩まされて打点が安定しないスライサーには、入射角を浅くするゾーンインパクトがオススメだ。ダウンスイングで手元が腰のあたりまで下りてきたときに、手首のコックをほどく動きを入れるとヘッドの入射角がゆるやかになる。ハンドファーストをキープしてヘッドを引っぱってくるのではなく、シャフトが垂直な状態になるようにイメージしてインパクトをするのだ。
アプローチはダウンブローに打たなければいけないと思い込んでいる人には抵抗があるかもしれない。たしかにインパクトで必要以上に右手を使ってすくいあげるように打つことは問題があるが、コックをほどいてリリースする動きとは異なる。
入射角がゆるやかになることで、クラブヘッドで最初に接地するのはソールになる。この部分はバウンスという出っぱりがあるため、地面に突き刺さることはない。ボールの10cm程度手前にヘッドが落ちたとしても、ソールが芝の上をすべりインパクトを迎えることができる。
スライサーはアウトサイドイン軌道のため、クラブをリリースするとヘッドが走ってヒッカケのミスが出る。そのためクラブをリリースすることを本能的に避けてしまうことが多い。フルショットをする前に、まずはアプローチで手首のリリースを覚え、ヘッドが芝の上をすべりながらヘッドが走る動きを身につけてみよう。練習場で低くティアップした状態のボールを腰から腰の振り幅でアプローチショットを打つのが効果的だ。
マットの上ではボールと地面の間に隙間がないため、バウンスを接地させたとしてもリーディングエッジが浮いてトップが出やすい。でもティアップした状態なら、バウンスを接地させてボールを拾い上げることが可能だ。ボール位置を真ん中か左足寄りに置いて、いつもよりインサイドアウトの軌道でヘッドをリリースさせる感覚をつかむことから始めるといいだろう。
ドライバーのスライスもアプローチのザックリも、ヘッドが急角度な軌道で下りてくることが原因となる場合が多い。手首のリリースを覚えられれば、入射角がゆるやかになりザックリが減り、スライスも止めることができるようになるだろう。