世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム37回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
1コマのレッスンでも相性を見極められる
大阪なおみがメジャー2勝目を挙げながら、コーチと袂を分かったことが話題となった。米ツアーでも長年タッグを組んだ選手とコーチの契約解消はあるが、メジャーを獲るほど結果が出ているタイミングでの解消は稀だ。
テニスもゴルフもツアーに出ている選手は、1年を通してほぼ休みなくチームスタッフと行動を共にする。「幸福感より成功を優先することはしない」と大阪が説明したように、選手とスタッフの関係性は、ただ技術的に上達をさせればよいというものではない。
ゴルフが仕事ではなく趣味であるアマチュアともなれば、コーチとの関係性はより幸福感を重視すべきである。技術が上達したところで、その過程や結果を楽しめないようでは「本当にゴルフが上達した」と言えないと私は思う。
初めて習うコーチとの相性をアマチュアが見極めるのは難しい。しかしビジネスシーンに置き換え考えてほしい。読者諸兄は日ごろ多くの人と会い、採用面接などをする機会も多いと思う。そのような機会で身につけた力を使えば、相性の良いパートナーを見つけることができるだろう。
まずは複数の候補に会うことが重要だ。信頼できる人の紹介であっても、自分との相性が良いとは限らない。紹介でも体験レッスンでもまずは会い、1コマのレッスンを受けてみよう。
相性を見極めるポイント
初回のレッスンでは、自分の求めているものを伝える。そして目標達成のためには何をしなくてはいけないのかを聞いてみよう。
「まずは今のスイングをチェックします」という話になるかもしれないし、「目標設定自体を見直しましょう」となるかもしれない。そのチェックを受けたうえで、答えが明確でなかったり、内容が理解できないようであれば、他のコーチを探したほうが良い。
明確に答えられるコーチは、現状の分析ができている。いい部分と悪い部分が把握できているという事なので、その点を深掘りしてコミュニケーションをとってみてもいいだろう。
このコミュニケーションも重要だ。一方的ではなく会話が成立しているか、相手の物言いにストレスを感じないか、自分の言いたいことを伝えられそうか。ビジネスのパートナー選びで自然に行っているチェックを、コーチとの会話でもしてみてほしい。
3人程度に会えばベターな選択肢が出てくるはずだ。紹介してもらっても相性が合わなそうな場合、断りを入れるのは気が進まないかもしれない。しかしお互いストレスを抱えたまま、数か月、数年の付き合いをするほうがはるかに悲惨だ。相手もビジネス。合わなければ断ってしまって構わない。
最初のコーチからの卒業タイミング
初めて習ったコーチとうまくいき上達をしていった場合でも、コンビを解消しなくてはならないときがある。上達の曲線が右肩上がりを描けなくなってしまったときだ。スイングの構築やスコアアップには段階があるので、向上が見込めなくなったり、マンネリを感じたらコーチから卒業をするタイミングだ。教育と一緒で、ずっと小学校にとどまっているわけにはいかない。中学、高校、大学と自分の成長に見合った教師とプログラムを受ける必要がある。
コーチから習う事に慣れてある程度知識がついた状態なら、気になるコーチの書籍やレッスン記事などで、自分との相性を下調べしてみるとよい。そのコーチとの考え方と自分の目標がマッチする人に出会えれば、明るい次のステップが待っているだろう。