世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム31回目。顧客の多くが国内外のエグゼクティブ、有名企業の経営者という吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
両肩と手元の三角形は崩れる
「バックスイングでアドレスでできた三角形の形を崩さないように」というキーワードを聞いたことはあるだろうか。両肩と手元を直線で結び、その形を意識するように振るというレッスンだ。小さいスイングのインパクトでこの形を意識することによって芯に当たる確率を高めてくれるかもしれない。しかし、アマチュアはフルスイングのテークバックでもこの形をキープしようとしがちだ。
結論から先に言うと、その形をバックスイング中キープすることは不可能だ。やってみるとわかるが、両肩と手元で作った三角形の形を維持しようとしても、せいぜい左腕が平行になる高さくらいにしか上がらない。トップでは必ず肘は曲がるので三角形を維持することはできない。また、三角形を維持しようとするあまり、手首まで固まることで飛ばないだけではなく、方向性まで損なってしまう。
テークバックで重要なのは、体と腕が同調して動くことだ。。体と連動して手元を動かすことができれば、クラブの軌道は安定し再現性の高いスイングが身につく。そのためにはやはり三角形を意識したほうが良いのだが、その三角形は両ひじと胸を結んだ三角形だ。
手打ちが消える”正しい三角形”
アドレスで作った両ひじと胸の中心を結んだ小さな三角形を、テークバックで崩れないように上げることで、体と腕が同調した状態でスイングすることができる。上半身の回転に連動して腕が動くので、手元やクラブの動きが安定するのだ。
実際のスイングでは動きが速く確認しながら振ることは難しいので、まず三角形を気にしながらゆっくりと素振りをしてみるとよいだろう。また、ゴムボールを両肘と胸で挟んで振る練習もいいだろう。
この時、「ちょっと手元の位置がいつもと違うな」「なんだか窮屈でバックスイングが小さい気がする」と感じた人は、日ごろの動きが手打ちになっている可能性が高い。手の動きでテークバックをしようとすると、クラブを高く上げてしまったりインサイドに引きすぎてしまいがちだ。そしてその位置から切り返しを行うので、カット軌道になったり、振り遅れになったりする。
これらを防ぐためにも、小さな三角形をキープすることが重要なのだ。
しっぽを振るのはどっち?
この三角形を重要性を説いているのが、アーニー・エルスやリディア・コなど多くの選手をメジャーチャンピオンに導いてきたデビッド・レッドベターというコーチだ。プロであっても体と腕の同調が崩れてしまい、スイングの軌道が変わることがある。そこをチェックし修正していくのがコーチの役割だ。
「しっぽが犬を振るんじゃない。犬がしっぽを振るんだよ。体と腕のシンクロすることが再現性の高い球を打つのに最も大事なことだ。」
こんな言葉で腕と体が同調することの重要性を語っている。あくまでも手やクラブは動かされる側ということだ。
テークバックやトップは、スイングの型やその人の骨格や筋力によって正しいポジションが異なる。しかし、この小さな三角形をキープするということは多くのゴルファーに当てはまる。球筋に安定感を欠いたり、芯に当たる可能性が低いと感じているのなら、ぜひチェックをしてみるとよいだろう。