GOLF

2019.01.11

脱スライス、チョロ……安定したショットの秘訣は、利き手ではない親指の付け根にあり!?

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム29回目。顧客の多くが国内外のエグゼクティブ、有名企業の経営者という吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。

吉田洋一郎

日常生活の中でできるトレーニングとは?

年が変わり仕事も始まると、1年の抱負や目標を決める機会がある。あまり高すぎる目標を立てると、継続ができなかったりモチベーションを下げてしまう。だから個人的には毎日続けられて、1年間続けたときに結果として1つのことが身についているというのが理想の形かなと思う。特にアマチュアにとってゴルフの場合はどこまで行っても趣味なので、あまり自分を苦しめるような目標は避けたほうが良い。

毎日練習ができるわけではないビジネスマンには、日常生活の中でできるようなトレーニングがいいだろう。私がおすすめしたいのは、利き手ではない手の親指の付け根の感覚を磨く練習だ。

トップで重要な役割を担う

手はプレーヤーとクラブを接点となる唯一の部位である。そしてその手の中でも重要なのが利き手ではないほうの左手だ(右利きで右打ちの場合)。グリップエンドに近い小指と薬指が大事だと言われることが多いが、親指の付け根の部分に気を付けてほしい。トップでグリップを支える役割を担っている左手親指の付け根でクラブを安定して支えられないと、切り返し以降のクラブ軌道にずれが生じる。トラック競技のスターターブロックと同じ役割で、その部分がセットがうまくいっていないとそのあとのパフォーマンスに大きな影響を及ぼすのだ。

トップでオーバースイングになる人はこの左手の使い方に問題がある場合がある。トップでクラブを支えることができないため、トップの位置が必要以上に大きくなる。その結果、クラブを振り戻すために利き腕の右手を使ってボールを打ちに行くアウトサイドイン軌道となりスライスボールになりやすい。

器用さに差異がある手の指

スイングでは手を使う事はたいていの場合、良しとされない。始動からフィニッシュまで3秒に満たない動きの中で、手先で細かい動きの調整をすることは困難だし、求められてもいない。足や胴体といった大きな筋肉を使ってクラブを始動させ、重力や遠心力で動くクラブの働きを邪魔しないことが重要だからだ。

10本ある手の指の中でも、特に利き手の親指と人差し指の2本は器用に動かすことができる。しかしこの器用さはスイングには不要だ。この器用な2本の指を使うことで、ボールを打ちに行くなど余計な力が入ってしまうことがある。

逆に不器用だが重要な利き手ではない親指の付け根の感覚を磨いて欲しい。普段使わない箇所なのでこの部分の神経をトレーニングしないと、なかなか上手に使えるようにはならない。例えば買い物でカートを押すときや車のハンドルを握る際に、この部分を意識して使うようにしてほしい。親指と人差し指の間をくっつけて、その部分でプレッシャーをかけて押したり支えたりする感覚を磨くといいだろう。この感覚を磨くことでトップが適切な位置におさまり、その後の切り返しで余計な力みが出なくなるため球筋が安定するだろう。特に今まで右手に頼っていたゴルファーはインサイドからクラブを下ろしやすくなり、ドローボールが打ちやすくなる。

これくらいの難易度なら気張らなくても1年続けられるだろう。継続は力なり。今日から1年、親指の付け根を意識し続ければ今年の終わりには安定したショットが手に入るかもしれない。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林 司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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