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GOLF

2018.11.23

プロはインパクトでボールを見ない!?【最新ゴルフレッスン】

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム23回目。顧客の多くが国内外のエグゼクティブ、有名企業の経営者という吉田コーチが、ゴルフのスコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。

吉田洋一郎

インパクトでゴルフボールを見るのか? 見ないのか?

ゴルフは止まったボールをゴルフクラブをスイングして打つスポーツだ。そしてボールの位置もアドレスで調整することができる。

だから一度セットアップしてしまえばボールを打つときに“ボールを見るべき理由はない”と言える。ボールの動きを予測しながら、それにアジャストして体を動かす野球やテニスとは違うのだ。

だから、プロの中でもインパクトでボールを見ていない選手は何人もいる。リオデジャネイロ五輪で銀メダルを獲得したヘンリク・ステンソンや米女子ツアーで通算72勝を挙げたアニカ・ソレンスタムは、インパクトでは早めに顔を上げるため目線はボールより左側を向いている。極論するとトップランクの選手たちは目をつぶっても同様のショットを打つことができる。プロはスイング軌道の中でボールをとらえるため、インパクトの瞬間にボールを凝視する必要はないのだ。

ではなぜアマチュアは「ボールを見ろ」と口酸っぱく指導されるのか。それはボールを見続けることでスイング時に前傾角度がキープできたり、軸の意識を持つことができるので体の不必要な動きを抑えられるからだ。飛んでいくボールを前傾角度のまま見ることができずに、すぐに目線を地面と平行にしてしまって前傾角度が変わる人には有効なアドバイスだろう。

前傾角度の維持はクラブ軌道の安定につながり、軸の意識は過度な体重移動やそれに伴う傾きを抑制するために有効なアドバイスだ。ただ「前傾角度の維持」や「軸の意識を持つ」ということを意識するのはアマチュアゴルファーにとってとても難易度が高い。だから「ボールを見ろ」という分かりやすい言葉で伝えようとするのだ。

ボールを凝視することの弊害

察しのよい方ならもうお分かりだろうが、ボールを見ること自体には何の意味もない。先ほどツアープロの例を挙げたがボールをよく見ることとナイスショットとの間には、なんら因果関係がないのだ。ミスをすると「(飛んでいく)ボールを見るのが早いよ」とアドバイスをされることがあると思うが、ミスの原因がヘッドアップだけというほどゴルフスイングは単純ではない。

しかしボールを凝視してしまうことによる弊害はある。スイング時に顔が固定されることで首の関節がロックされ体の適切な回転を損なってヘッドスピードを減速させたり、適切な体重移動の妨げになる可能性がある。これは以前『「残す」と「残る」この違いがナイスショットの分かれ目』で、頭を残すことの弊害としても書いた。スイング時に頭を動かさないことだけに意識を持っていくのは避けるべきだ。

ではどのようにボールを見ればよいのか。「ぼんやりと、その(ボールの)あたりを見ている」というプロは多い。上から俯瞰的に見る人、右から覗き込むように見る人など見方は人それぞれだ。上から見えればクラブを振り下ろすイメージが強くなるし、右から見れば少しアッパーブロー気味にヘッドを下ろしてくるイメージになるだろう。

私はなんとなくそこにボールがあるという感覚であえてボールに意識を向けないように見ることをお薦めしている。そうすることでボールを「点」でとらえるのではなく、「スイング軌道」の中でとらえることができる。インパクトで力が入ってしまう人やフォロースルーが取れない人はボールの見過ぎによって「点」のインパクトイメージとなり上半身に力が入ってミスをしているかもしれない。ボールをぼやっと見て「打つ」ではなく「振る」イメージにするだけで余計な力感が抜けてナイスショットの確率が高まるだろう。

ボールの見方に正解はないので、自分のイメージに合ったものを探してみてほしい。ボールへの熱視線の送りすぎには注意だ。

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吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子によるゴルフレッスン。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林 司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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