世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム12回目。顧客の多くが国内外のエグゼクティブ、有名企業の経営者という吉田コーチが、スコアも所作も洗練させるための゛技術゛と゛知識゛を伝授する。
プロは体重移動。アマチュアはスエーするのはなぜか?
「スイングで体重移動は必要ですか?」
初めてレッスンをするクライアントのほとんどが、私にこの質問をする。
答えは「Yes」だ。
日本でもアメリカでも男子でも女子でも、どんなプロを見てもスイング中の体重移動を行っている。バックスイングでは右サイドに体重が移動し、ダウンスイング以降は体重が左に移行する。
しかしアマチュアでスイング中に体重移動を適切に行っている人は少ない。アマチュアが体重を移動させようとすると、体全体もしくは体の中心(重心)を左右にゆするように動かしてしまうからだ。
プロとアマチュアはどう違うのか。イメージをしやすいように足踏みを例に説明しよう。
足踏みの際、右足1本で立っている状態は右足にほとんど体重が移動している。左足一本ならその逆になる。これがプロが行っている体重移動だ。体の中心は動かず体重のみが移動する。わざわざ足踏みをするのに上体を左右に揺さぶったり、腰をスライドさせる人はいないだろう。体重移動と言うよりは「加重の入れ替え」や「加重の移動」というったほうが正確かもしれない。
さて問題は、体重移動を意識するあまり、体の中心(重心)まで動いてしまっている人だ。
足を使って移動するイメージを持つ
過度に体重移動をしてしまうのは、意識しやすい上半身や骨盤、股関節などの動きによって体重移動をしようとしている場合が多い。そもそも体重移動を行う意味というのは地面に力を加えて反力やトルクなどのエネルギーを生み出すことにある。いくら股関節にテンションがかかっても、それを支える足が適切な動きをしなければ非効率になる。体重移動は足、特に足裏の存在を抜きには語れないのだ。
上半身や骨盤が横方向にスライドしてしまっている人はスタンス幅を少しだけ狭くして、その両足の中で加重の移動をするようにしよう。過度に横移動してしまっている状態なので、回転の意識を持つとよい。この時気を付けたいのは単純に左右の足で体重を移動するだけではなく、つま先と踵方向に体重が移動する事だ。右足に体重がかかった時には右足は踵、左足はつま先、逆に左足に体重がかかった時は左足が踵、右足がつま先というように前後に体重が移動するようにしたい。そうすることで適切な体重移動ができるだけでなく、地面を利用したトルクが発生し、体の回転運動が生まれるのだ。
すでに横移動の動きのイメージがついている人は、その場で足踏みをしながらボールを打ってみよう。体重は移動しながらも垂直軸は不動という動きのイメージを身につけることができるだろう
体重移動は無くてはならないものだし、右から左とイメージしやすく便利なキーワードだ。しかし伝えるには漠然とした言葉だし、実際にスイングに反映するとなるととても難しい。「もっと体重移動をするように」と言われた際は、重心は動かさずに加重を入れ替えるんだなと理解すれば、美しいスイングに近づくことができるだろう。