世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム2回目。顧客の多くが国内外のエグゼクティブ、有名企業の経営者という吉田コーチが、スコアも所作も洗練させるための“技術”と“知識”を伝授する。リーダーに欠かせない“周りから慕われる”ゴルファーになる方法とは?
スイングは「形×スピード」だ
「スイングづくり」というと、多くの人はどのようにクラブや体が動くかという形の部分を気にする。しかしスイング構築においてポイントはこれだけではない。形と同じくらい重要になるのが「スピード」である。
では一般的なアマチュアのスイングにおいてはどうだろうか。私の経験から言うと、大半のアマチュアはバックスイングのスピードが極端に遅い。これは球を曲げないために「体のねじれを使ってクラブを上げる」ということを意識した結果、ゆっくりとしたバックスイングになっている場合が多い。しかし、ゆっくりなバックスイングではトップでクラブの反動を使うことができなくなるため、切り返しで上半身に力が入り、方向性のブレや飛距離ロスの原因となる。
一度PGAツアーのダスティン・ジョンソンやリッキー・ファウラーのスイングの始動に合わせてバックスイングをしてみてほしい。プロのほうが始動から切り返しまでの時間が圧倒的に短いことに気づくだろう。
ダウンスイング以降は筋力やクラブの振り方といったフィジカルやテクニカルな要素があるのでプロのように速くは振れないが、テークバックはわずか300g程度の棒状の道具をヒョイと上げるだけである。特別なトレーニングをしていなくてもできる。
プロのスイングをもとに善し悪しがチェックされる
プロのようにテークバックを速くすること自体は簡単だが、手先でヒョイとクラブを振り上げるだけではスイングが崩れてしまうため注意しなくてはならない。
下半身から始動をはじめ上半身を回し、結果として手元が動き出すというような順番は外せないポイントだ。具体的にはダスティン・ジョンソンのように始動時に右足で地面を押し、右ひざを伸ばしながらクラブを上げていくと適切な連動性を保ちながらクラブを速く動かすことができる。
まずはクラブを持たずに両手を合わせてスイング動作を行ってみるとよい。この時プロのスイング動画を再生し、動画と同じスピードで腕が振れるようになるまで素振りを繰り返してみると良いだろう。これができるようになったら、実際にクラブを持って振ってみよう。最初はショートアイアン短く持つと速く振りやすい。ボールを打つより素振りを繰り返したほうが再現性を高くなり、芯でとらえる確率は上がるだろう。
ボールを打つ際、最初はきちんと芯に当たらないかもしれない。これは速く振ったからクラブをコントロールできなくなっているのではなく、新しいテンポに順応していないだけだ。ゆっくりと動かしたほうが正確に動かせるように思うが、スピードを落とすことで体の動きが硬くなり正しく動かすことが困難になる。書道を思い浮かべてほしい。ゆっくり動かすと手先が震えてしまったり、筆先がよれてしまいがちだ。
ちなみにバックスイングを速くすることで、飛距離も向上する。速いバックスイングによってトップでクラブの反動によるシャフトのしなりが生まれ、切り返しの「タメ」が大きくなることでヘッドスピードが上がるからだ。
そしてバックスイングのスピードが上がることで、プロのような適切なリズムとなりスイングの美しさも向上する。
多くのアマチュアがゆっくりとクラブを上げているなかで、速くキレのあるバックスイングができれば、一目を置かれることは間違いないだろう。