かつてドレスの象徴だった上下揃いの服。今となっては、カジュアルにおいても好まれるスタイルとなった。自分がどうなりたいか、そしてどう見られたいか。色や素材に妥協せず行う、アイデンティティの表明は、実に理想的なアプローチである。
見た目も着心地も、素材にこだわる
1.【ザ・ロウ】こうあるべきではなく、こうありたいをかなえる装い
モヘアをブレンドするバージンウールを使った、トレンチコート、ジャケット、そしてパンツのアンサンブル。やわらかでドレーピー、微光沢とわずかなスラブが織り混ざるその生地は、落ち着いたブラウンとともにクラシックともモードとも取れる独特な世界観を描きだす。いわば、今を柔軟に生きる男のダンディズムといったところ。
2.【ジョルジオ アルマーニ】軽さとやわらかさこそ現代スーツのプロトコル
そろそろドレスに回帰したくなってきた。とはいえ、クラシックが再定義された今、スーツにはしなやかさが求められている。ならば、ストレッチカシミアをチョイスする、というのはいかがだろう。つまり、上質な素材をよりいっそう軽やかに纏う。しかも、メイド トゥ メジャーで誂えて。現代の美意識は、そんなたおやかな矜持に見いだせる。
3.【ルイ・ヴィトン】いつの時代も変わらない、だからこそ変わるべき
「ルイ・ヴィトン ステープルズ エディション」の薄く色落ちしたデニムのセットアップ。スクエアシェイプの襟やアンティーク調のゴールドカラーボタンが、らしさを主張する。永遠の定番アイテムであるデニムだからこそ、ニュアンスが重要となる。古きよきアメカジが再燃している今なら、なおのこと。単に懐古趣味で終わらない、まさに進化する定番である。
4.【ロロ・ピアーナ】着飾ることよりも気持ちいいことが大切
ワンマイル、またはリラックスといったキーワードにおいてこそ、上質な素材にこだわることが大人の条件。例えば、こんなフーディ&ジョグパンツなど。素材はカシミア×シルク。言うまでもなく、極上に軽くやわらかな素材をニット編みすることで生まれるドレープが、遠目からでもわかる質の高さ。ウィッシュ®ウールを使用するスニーカーで、足元まで抜かりなく。
5.【ブルネロ クチネリ】機能と美の理想的融合を素材と色で証明する
今季のテーマ、クロスロードの名の下で示される、街という日常と旅という非日常の交錯。撥水マットナイロンやパウダーガード、ダウン、サーモア® フィリングなど、本格的なスキーウェア仕様を披露するこのセットアップ。ウール×カシミア×シルクのダイアゴナル生地、品よい色使いが街にもなじむ存在に。
6.【エルメス】タフさや男らしさ、そんな価値観からの脱出
まるで踊るような軽やかさ。エルメスの手にかかれば、それはレザーのセットアップでも可能となる。ジャケットとパンツに用いられるのは、わずか0.6mm厚の極薄レザーであるヴォー・グラッセ。着丈を長めに取ったジャケットが、その軽さをより印象づける。まるでスカーフを巻いているかのようなツインネックのシャツとの合わせで示すのは、タフさではなくしなやかさだ。