ENTERTAINMENT

2022.11.11

ヒョンビン、キム・ヨナetc.ビジネスパーソンが知っておくべき韓国ウエディング市場

ビッグカップル誕生が相次いだ2022年の韓国。コロナ禍で景気が低迷しているなかでも盛り上がっている市場がある。連載「ビジネスパーソンのための韓タメ最前線」とは……

ヒョンビンとソン・イェジン

Netflixシリーズ 「愛の不時着」 独占配信中

韓国スターの結婚ブームが若者に与える影響

2022年、韓国では人気スターたちの結婚が相次ぎ、世間を大いに騒がせた。

まず挙げられるのは、'22年3月に結婚した俳優のヒョンビン(40)とソン・イェジン(40)。2019年に世界的ヒットとなったドラマ『愛の不時着』で共演した2人の結婚は「愛の不時着婚」と呼ばれ、日本でも連日ニュースで取り上げられるなど話題だった。ソン・イェジンは12月ごろに第1子となる男児を出産予定ということでさらに注目が集まっている。

ドラマ『相続者たち』でヒロインを務め、『アルハンブラ宮殿の思い出』ではヒョンビンとも共演した子役出身女優パク・シネ(32)も'22年1月に結婚。大学の後輩で同じく子役出身俳優チェ・テジュン(31)とのおめでた婚で、5月に男児の誕生を発表している。

そのほかにも、10月には『ストーブリーグ』『わずか1000ウォンの弁護士』などに主演した俳優のナムグン・ミン(44)が、モデル出身のチン・アルム(32)と7年間の交際を実らせ結婚。その4日後にはヒョンビンとソン・イェジンの結婚式でブーケを受け取っていた『椿の花咲く頃』の主演女優コン・ヒョジン(42)と歌手のケビン・オ(32)がニューヨークで挙式をあげた。

スポーツ界の名だたるスター選手の結婚も世間を騒がせた。2010年バンクーバー五輪フィギュア女子で金メダルを獲得したキム・ヨナ(31)と声楽家コ・ウリム(27)が、10月に結婚。その2ヵ月前には「新体操界のキム・ヨナ」と呼ばれた元新体操韓国代表ソン・ヨンジェ(28)が、9歳年上の一般男性と結婚している。

芸能界やスポーツ界のセレブたちが次々と結婚したわけだが、その流れを祝福する声は多い。

というのも、新型コロナの感染拡大以降、韓国の婚姻件数は低下する傾向にあったのだ。韓国統計庁の発表によると、’20年は前年比10.7%減少の21万4000件を記録。翌年はさらに2万件減少した19万3000件を記録。統計開始以来初めて20万件を下回った。

ところが、'22年に入って変化の兆しが見えてきた。春から新型コロナ防疫措置が事実上解除されたことで、結婚式が急増したのだ。統計庁が発表した'22年8月の資料では、婚姻件数が前年同月比6.8%増加したという結果が出ている。

我先に挙式をあげようとする雰囲気は、スターたちの相次ぐ結婚からもうかがえる。コロナ禍を乗り越えた結婚だからこそ祝福されるのは当然のことだが、注目すべきは、彼らが負けじと派手でゴージャスな結婚式を挙げていることだ。

“世紀の結婚”とも言われるヒョンビンとソン・イェジンの結婚式の場合、会場の一日貸切料に約400万円、式場の装花に約250万円、警備費に約100万円、ゲスト約200人の食事代に560万円などといわれ、合計約1300万円以上がかかったとみられている。さらにはゲストに配られた引き出物もラグジュアリーブランドの香水やグラスなどのセットで、1人当たり10万円台だったという。

韓国では“フィギュア女王”と呼ばれることから「国婚(クッコン。朝鮮王朝の王室の結婚式)だ」というジョークも出てきたキム・ヨナの結婚式も、女王の名に恥じない豪華さだった。ウェディングドレスや会場の貸切料、引き出物などを合わせて約1000万円以上かかったとみられるが、特にキム・ヨナの左手薬指にはめられた「Dior」の結婚指輪が280万円相当ということで、大きな話題を呼んだ。

以前は質素で素朴な「スモールウェディング」も流行っていた韓国。しかし、コロナ禍で我慢していた見栄を爆発させるかのように、“リベンジ消費”ならぬ“リベンジ結婚式”が盛んだ。その先頭に立って華やかな結婚式を挙げるスターたちは、知らず知らずのうちに未婚の若者に影響を与えている。

コロナ禍以降、韓国では20、30代の富裕層と貧困層の経済格差が進む一方だ。韓国SBSニュースが'22年5月に報じたところによると、彼らの平均資産は3億6000万ウォン(約3600万円/昨年3月時点)と集計されるが、上位20%(約8億ウォン)と下位20%(約2400万ウォン)の格差は33倍にも広がっている。スターたちの派手な結婚式が若年層の社会的二極化をますます広げる要因になるかもしれないという懸念の声も上がっている状況だ。

いずれにせよ、スターたちが結婚という明るい話題を提供してくれるのは良いことに違いない。ビジネスパーソンとしては景気が悪いなか盛り上がりを見せているウエディング市場に注目しておいて損はないだろう。

■連載「ビジネスパーソンのための韓タメ最前線」とは……
ドラマ『愛の不時着』、映画『パラサイト』、音楽ではBTSの世界的活躍など、韓国エンタメの評価は高い。かつて「韓流」といえば女性層への影響力が強い印象だったが、今やビジネスパーソンもこの動向を見逃してはならない。本連載「ビジネスパーソンのための韓タメ最前線」では、仕事でもプライベートでも使える韓国エンタメ情報を紹介する。

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TEXT=李ハナ(ピッチコミュニケーションズ)

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