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2021.04.13

メルセデス・ベンツのフラッグシップセダン「Sクラス」はなぜ重宝され続けるのか?

歴史ある名車の”今”と”昔”、自動車ブランド最新事情、いま手に入れるべきこだわりのクルマ、名作映画を彩る名車etc……。本連載「クルマの教養」では、国産車から輸入車まで、軽自動車からスーパーカーまで幅広く取材を行う自動車ライター・大音安弘が、さまざまな角度から、ためになる知識を伝授する!

いつの時代も最新技術を惜しみなく投入

輸入車の代表格として高い人気を誇るメルセデス・ベンツ。そのフラッグシップセダンが、「Sクラス」だ。世界には名立たる高級サルーンが存在するが、これほど各国要人や名立たるエグゼクティブたちに愛用されてきたクルマはそう多くない。

今も昔もニュース映像や報道写真の片隅に、重要人物を安全に送り届ける名脇役として、その姿を現すこともしばしばだ。彼らの中には、熱心なメルセデスファンも存在するが、これほどまでに重宝されるのは、その信頼性の高さに他ならない。それがSクラスという存在だ。

そのため、いつの時代もメルセデス・ベンツの最新技術が惜しみなく投入され、世界最高のラグジュアリーカーが目指される。2013年に登場した先代となる第6世代のSクラスは、世界で50万台以上が販売され、メルセデス自身も「世界で最も選ばれるラグジュアリーセダン」を自負する。

その後を受け継ぐ、第7世代となる最新型は、2020年9月に世界初公開されたばかりだが、年明け早々となる1月末に日本でも正式発表された。コロナ過の状況を鑑みれば、日本でのSクラスニーズの高さを伺わせる。

ラインを徹底的に排除した最新Sクラス

最新のメルセデスデザインは、どのモデルもスポーティ路線を歩んでいるが、そこはSクラス。只ならぬ風格を感じさせる。特に大型グリルと伝統のスリーポインテッドスターのボンネットマスコットがSクラスらしさを演出する。ただ先代モデルのような押し出しの強さは、少し薄まったようにも思える。それでも近寄り難い雰囲気を放つのは、完璧を目指したデザインにあるのだろう。

新型Sクラスは、デザイン上のラインを徹底的に排除し、サイドビューには「キャットウォークライン」と呼ぶ上部にシャープなキャラクターラインを与えることで優雅なスタイリングとサーフェイスデザインを実現している。しかもドアパネルのデザインの美しさを表現するためにドアハンドルは完全格納式となった。それ故、美しいスタイルに、どうアプローチすれば良いのか戸惑ってしまうのだろう。もちろん、ドライバーやゲストが近づけば、瞬時にドアハンドルはせり上がり、歓迎してくれる。

豪華クルーザーのようなコクピット

新しくも伝統のメルセデスらしさを併せ持つエクステリアに対して、インテリアは劇的変化が図られた。徹底的に快適性を追求している点は歴代モデル同様だが、他のメルセデスとも異なる新たなデザインアプローチが試みられた。特にダッシュボードデザインには、驚かされる。まるで豪華クルーザーのコクピットのようなのだ。

その面積の多くを占めるウッドトリムを低く配置し、他のモデルのようなグローブボックスのハンドルも、オーディオやインフォテイメントシステムの操作ボタンを排除。そしてドライバーの眼下には、情報を集約したフードレスのデジタルメーターが備わる。なんともシンプルな構成なのだ。これがクルマらしくないデザインと感じる理由なのだろう。

エアコンやインフォテイメントシステムの操作システムは、メカスイッチから、大迫力の縦型12.8インチの有機ELメディアディスプレイ上のタッチ操作に移行。また新デザインのステアリングスイッチからも行える。まさに現代車らしく、スマホ感覚の操作が主体となった。

ボディサイズは、先代モデルよりも拡大されているが、驚くべきことに街中での運転はよりしやすい。これはすっきりしたダッシュボードデザインと広いガラスエリアが生む心地よい前方視界、そしてドライバーに進行方向と車両のセンターを示すボンネットマスクコットの相乗効果にある。さらに技術的に小回り性を向上させるのが、新機能の「リヤ・アクスルステアリング」だ。これは後輪操舵、つまりリヤタイヤにも舵角を与えることで、街中や駐車時の小回り性を高めるもの。また制御を変えることで、高速域でのコーナリングやレーンチェンジの安定性の向上にも貢献する。

これらの効果が街中でCクラス程度のセダンを運転しているような感覚を与えてくれる。もちろん、大きなクルマなので周囲への配慮は大切だが、運転中に感じる大きさによるストレスが軽減されることで、ドライバーの注意も行き届くようになる。こんなドライバーへの配慮も、Sクラスらしい気配りなのだろう。

新しさといえば、その乗り味にも現れる。Sクラスは全車にエアサスペンションが標準となり、ボタン操作で乗り味が変えられる。通常モードとなる快適性を重視した「コンフォートモード」は、まるで大海原を進むクルーザーのような乗り味。だから、ドイツ車らしいしっかりとした乗り味を思い描いていると、良い意味で裏切られる。


ただドライバー目線だと、「コンフォートモード」は少しソフトすぎるし、丁寧な運転操作でこそ、その味が活きるようだ。なので、主役がドライバーならば、「スポーツモード」を選ぶべきだ。そうすれば、足回りも少し引き締められ、動きにも機敏さが増す。これまで「コンフォートモード」は万能仕様であったが、新型では、おもてなしの「コンフォート」、ドライバーズカーモードの「スポーツ」という明確な住み分けがされたのではないだろうか。実際にモードを使い分け、走り方を変えてみると、よりSクラスの世界が広がったように感じた。これもSクラスが常に最上を目指し、努力を重ねる姿勢が表れるところなのだろう。

いつの時代のモデルも高い安全性と快適性を備えるSクラスだが、新型の魅力を最大限引き出せるのは、世界中のSクラスを相棒とするプロドライバーたちの存在も重要。デジタル感満載の新型Sクラスだが、人とのつながりはより強くなったのかもしれない。

TEXT=大音安弘

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