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2020.12.15

フォルクスワーゲン ゴルフが「究極の実用車」と言われるゆえんとは?【クルマの教養】

歴史ある名車の“今”と“昔”、自動車ブランド最新事情、いま手に入るべきこだわりのクルマ、名作映画を彩る名車etc……。国産車から輸入車まで、軽自動車からスーパーカーまで幅広く取材を行う自動車ライター・大音安弘が、さまざまな角度から”クルマの教養”を伝授する!

デザイン界の巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロがスタイリングして誕生

日本では輸入車の大定番となっているフォルクスワーゲン ゴルフ。あなたの周りの友人、知人、家族など身近な誰かにユーザーがいるのではないだろうか。ひょっとすると、あなた自身かもしれない。何を隠そう、我が家にもゴルフがあるくらいだ。少しだけ我が家の話をすれば、亡くなった父親が最初に買おうとした輸入車も、フォルクスワーゲンだった。当時はビートルだったが、念願叶い、最後のクルマがフォルクスワーゲンとなった。父は特にクルマ好きという訳ではなかったが、機械が好きだった。若き日の父が、ビートルの何処に魅力を感じたのかを聞きそびれてしまったが、恐らくスタイルだけでなく、その信頼のおけるメカニズムにも惹かれたのだろう。

ビートル(タイプ1)は、ドイツの国民車として生み出され、世界にも進出。半世紀以上に渡り、生産されてきたベストセラーである。ドイツ車らしい合理的な考えに基づいたシンプルなクルマである一方で、その愛らしいスタイルがチャームポイントとして愛された。その想いを受け継ぐゴルフは、世界でトップクラスのセールスを誇るだけでなく、世界中の自動車メーカーがベンチマークとして新型車を徹底的に研究するといわれる究極の実用車だ。

そんなゴルフのデビューは、1975年のこと。カーデザイン界の巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロがスタイリングを手掛けた。この初代からFFのハッチバックを基本とするスタイルは最新世代まで受け継がれる。そのキャラクターを一言で表すならば、質実剛健。真面目な作りとシンプルなデザインを持つ実用車であったが、優れた基本性能による走りの良さも備えていた。この点は、まさにビートル譲りといえよう。高度成長期の日本にとって、ゴルフは実用車といっても、高価な存在。しかし、真面目な作りと走りの良さが評価され、次第にファンを拡大していく。そんなゴルフの気質が、高くとも長く愛せる舶来品のイメージと重なったのだろう。世界の国民車となったビートルの後を受け継ぎ、日本の輸入車スタンダードへと成長していく。

本国では8世代目となる新型がデビュー

初代登場から45年を迎えた今、ゴルフは第7世代まで成長した。本国では、既に8世代目となる新型がデビューしており、日本でも来年に導入される見込みだ。しかし、今日の主役は、新型ではなく、最終型となる現行ゴルフだ。現行型の歴史を簡単に振り返ると、2012年に欧州デビューを果たし、日本にも翌年より導入が開始。「MQB」と名付けた新世代プラットフォームを中心に、各部を変更することで幅広い車格を生みだせるクルマ作りに取り組み、フォルクスワーゲン全体で合理的かつ高性能なクルマ作りが目指された。その第一弾となったが、現行ゴルフである。2017年5月にマイナーチェンジを実施し、通称「ゴルフ7.5」と呼ばれる後期型に進化。現在の販売は、販売終了記念の特別仕様車「マイスター」が主となる。

試乗したのは、「マイスター」のガソリン車「TSIハイライン」と「TDIハイライン」の2車種。マイスターとは、「職人・名人」を指すドイツ語で、現行型の完成形を示すものらしい。上級グレード「ハイライン」に、デジタルメーター、純正ナビゲーションシステム、レザーシートやフロントシートヒーター、LEDヘッドライトなどを追加した豪華仕様だ。

最終型となるマイスターで山中湖畔をドライブする。乗り込む際のドアの開閉のしっかりした感触がドイツ車らしい。マイスターでは、フル液晶メーターも備わるので現代的な雰囲気だが、コクピット周りのデザインは、極めて普通。しかし、その普通が良い。ゴテゴテ飾り立てた最新車と異なり、誰にでもすんなりと馴染む使い勝手と心地よさがあるからだ。これは物凄く大切なことであり、ゴルフが世界のスタンダードであり続けた秘密であると思う。その走りは、スポーティさが際立った初期型と比べると、だいぶしっとりとした乗り味になったように思える。

長距離燃費にも優れる実用車らしさ

スポーティさも走りの良さのひとつだが、それだけが際立つとゴルフのような実用車だと、時に軽薄さにも繋がる。その点、マイスターは、足回りがしっかりとしているのに、乗り心地とのバランス上手なのが好ましい。もちろん、アクセルを開ければ、スポーティなキャラクターも顔を見せる万能さだ。ガソリン車には、1.4ターボエンジンが搭載され、最高出力140ps、最大トルク250Nmを発揮するので、必要十分以上。クリーンディーゼル「TDI」は、2.0Lターボとなるので、最高出力150ps、最大トルク340Nmまでパワーアップ。流す分には、ガソリン車よりも少し力強いなと感じる程度だが、アクセルを踏み込めば、スポーツモデル顔負けの鋭い加速を見せる。そんな刺激的な一面と共に、長距離燃費に優れる経済性も持ち合わせる。どこでもクルマで出かける人には心強い味方でもあるのだ。どちらを選ぶかは好みだが、静粛性の高いガソリン車の方がオールマイティと言えるだろう。

ゴルフユーザーの視点から見ても、伝統的な質実剛健さと時代が求める先進機能とデジタル装備を合わせ持つマイスターは魅力的に映る。まるで熟成され、味わいが深まったウィスキーのようだ。「最終型を買え!」は、輸入車好きが良く口にするセリフだが、これは初期トラブル回避の狙いと共に、熟成された最終型は、新型車とは異なる魅力があることも意味する。その金言は、今も変わらないことを実感させてくれたのが、ゴルフ・マイスターであった。最後の最後に熟成されたゴルフ。それもちょっと贅沢装備の仕様を選ぶ。長く一台を乗り続ける人には、良い選択ではないだろうか。自動車業界が大きな転機を迎える今、古き良きゴルフの伝統の味を味わう最後の機会になるかもしれない。

TEXT=大音安弘

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