ゲーテイストは、毎年恒例のゲーテ・レストラン大賞。食に対して異常なまでのこだわりを持ち、圧倒的な情熱を傾ける美食4兄弟(?)が忙しい仕事の合間を縫って、全国に足を運んで至極のレストランを発掘。今回も座談会スタイルで、時には熱く、時には偏屈に、この一年、自らのハートを射止めたお店を紹介する。これまでいっさいメディアには登場しなかったお店から、和、洋、中のスペシャルなお店まで、本当は誰にも教えたくない名店中の名店が全43軒! レストランのない人生なんてありえない、という人に贈る完全保存版、究極のレストランガイドがここに完成!! 【特集 ゲーテイスト2022】
レストランがなければ人生は楽しくない
世の中の動向とグルメシーンは常に密接な関係にある。めまぐるしく変化する時代のなかで、その流れを見つめてきた食賢人たちは今、何を思うのか。ゲーテイストを通して伝えたい"食の悦び"とは? そこには四者四様の想いがあった。
見 長引くコロナ禍で思ったことは、やはりレストランで過ごす時間がいかに自分を幸せにしてくれるかということだった。46年前に文芸編集者としてデビューをして、それから365日ずっと外食をしてきたのだから、僕にとってレストランに行くことは大げさではなく、人生の一部なんです。
秋 時代が変わって、人が変わって、もう行くことができないお店もたくさんあるけれど、すべてに思い出があります。その感動や楽しかった記憶が今の自分をつくっているのは間違いない。
小 素敵なお店はこの場所に見合う男になりたいと自分を鼓舞してくれたし、レストランで楽しく語らうなかで生まれたアイデアもあります。
中 全国を旅するなかで、東京以外に素敵なお店がこんなにあるんだという発見もたくさんあります。誠実なお店には何度でも通いたくなる。ただ、最近はなんだか違和感を覚えることも多くて。だからこそ、実直に仕事やお客さんと向き合うお店に心惹かれるんですけれど。
見 SNSの普及によって、グルメシーンは確実に変わりました。もちろん、すごく便利なツールであることは間違いないし、インターネットを使っての発信力が集客につながる場合も多いと思うけれど、僕はレストランってSNS的なものではなくて、もっと"生"のものだと思うから。人と人がリアルにつながって、豊かな気持ちになれる場所であってほしいとは思うよね。
秋 予約困難、っていつ頃から聞くようになった言葉なのか、ふと考える時があります。僕は、こういう仕事をするなかで人間の努力と才能を超えて抗えないものに動かされている、と感じることが多いんです。なので、今はあらゆることに無理をしないと決めていて。だからこそ、自然の力で結ばれたお店とのご縁は大切にしたいです。
中 最近、レストランで出てくるコースの量が非常に多くて、美味しくても最後は食べ疲れしていることが増えた気がします。レストラン側も頑張っているのはわかるのですが、もうちょっと足りないくらいで終わりたいと思っているのは僕だけなのかな。
小 それはありますね。今は情報に溢れている時代だから、お店もお客さんも気づかないうちにそれに左右されることが多い。それで、いろいろエスカレートしてしまうのかもしれないなと思います。予約が取れないお店にしても、人気店は当然、素敵な要素がたくさんあって、逆に、ガラガラだけれど、いいお店というのもある。自分の基準を持って発掘する悦びを大切にしたいです。
秋 答えはそれぞれのなかにあるよね。人間と同じようにお店にも個性があるから、自分との相性がいいお店に出会えたら、これは本当に幸せ。
見 作家やアーティストを連れていくお店を探すのもその予約も、翌日のお店へのお礼も全部自分で、というふうにしてきたので、人まかせにすることはこの先もできない。でも、自分と似た感覚を持った人が薦めてくれる店には行きたいと思うし、好みは違うけれど、この人の言うことなら冒険してみたいなと思う時はあります。
中 僕も酒蔵や生産者の方に教えていただいて定期的にうかがっているお店も多いです。
見 情報過多の時代でも、大切なのは“生”の声。ゲーテイストの意義はそこにあるんです。
【ゲーテイスト2022】※6月24日までに全公開!
「秘密の店」
「和の神髄」
「洋の絢爛」
「名人の店」
「弩級な鮨」
「肉の魔力」