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2024.05.27

ドラッカーより役立つ!? ヤクザに学ぶ「強い組織」のつくり方

年功序列、終身雇用が崩壊し、欧米型の雇用環境に変わりつつある日本。これからのシビアな社会を生き抜くには、ただの「いい子」ではやっていけません。そんなときヒントになるのは、生き残りを賭けた戦いを日々、繰り広げている裏社会の人たち……いわゆるヤクザの生き方です。リーダーシップ、錬金術、逆境の乗り切り方など、彼らヤクザの「戦略」がよくわかる『ヤクザに学ぶサバイバル戦略』より、その一端をご紹介しましょう。

ときには「徹底管理」も必要

もう10年以上前のことになるが、K会は若い衆に対しては徹底的に管理する方式を取っていた。

まず事務所は24時間態勢、幹部10人はいつでも連絡が取れるシステムになっていたのはいうまでもない。ケータイが普及していなかった時代は、10人全員がポケットベルを持っていたのだ。そのため、どんな緊急事態が勃発しても、30~40人の集合は20分以内で可能――ということだった。

興味深かったのは、事務所において、全組員のその日の居場所、動向をすべてチェックしているというのだ。

(写真:iStock.com/bee32)

全員の若い衆(約50人)が1日に3回は事務所に電話を入れ、自分の居場所を知らせると同時に本部の義理事の有無を確認することが義務づけられていたからだ。当番はその電話の入った時刻を日報に記載するから、その日の全組員の居場所、動向が一目瞭然となるわけである。

なおかつ事務所の責任者になっている幹部は3時間おきくらいに事務所に来て、その日報をチェックするというのだ(いまはこんなまどろっこしいことをしなくても、パソコンやケータイのメールによるやりかたがあるだろう)。

なぜ、そこまで徹底した管理システムを取るのか、K会を束ねていたA会長がこう語ってくれたものだ。

「やはりそこまでやらないと、いろんな問題で遅れを取ったりしますからね。それとはべつに、このシステムによる思わぬ効用もあるんですよ。

たとえば、対警察問題で、うちの若い衆がやったことじゃないのに、うちの若い衆だという事件が起こるときがあるんです。そうすると、このシステムによって、うちの若い衆がそのときどこにいたかというのは、すぐにわかるわけですよ。それで人違いと判明するんです。

そのように密な連絡を取りあえば、組織のためになるんじゃないかと考えてやってきたことですけれど、お陰で私の意志はみんなに通じているという自負はあります」

誰もが「いいもの」を持っている

事務所への連絡を怠り、それが3日間続いた者には懲罰が科せられることになっていた。懲罰といっても頭を丸める程度だが、それを科せられた者は決して少なくなかったという。

「若い衆の行動を監視しているわけじゃないけど、たいがいのことは掌握しているつもりでいますよ。どの若い衆がどこで何をしているというのがすぐわかります。

組織づくりはまず上の者が範を示すことが肝心。下の者に模範を示さなくちゃいけません。そうでなきゃ、若い衆の教育も何もあったもんじゃない。そのへんを幹部にも厳しく徹底させています。

それと人格も尊重してやらなくちゃいかんですね。いくら下っ端の人間であろうと、うちがよくて来た以上は――どうせ我々の世界に来る人間なんて落ちこぼれが多いですよ、はっきりいって――なんとか私らの手で引っ張りあげてやらなきゃいかんのです」

とは、A会長の弁だった。

(写真:iStock.com/metamorworks)

A会長が見て、伸びていく若い衆というのは、とにかく行動力のある人間。人がひとつしかやらないところを3つも4つもやるような人間――とのことである。その逆なのが、動きの鈍い人間。ところが、先行き望み薄と思われるような若い衆のほうが、逆に伸びるケースもある――とも語ってくれたものだ。

「うちにも2、3人いますよ。入ってきたときは多少、歳食っていて、最初はスローモーで、これはダメかなと見ていたんですが、そのうちひとつのものをやらせると他の者は敵わないというものが出てくるんです。適性のある仕事を与え、ある程度の役をつけると、見違えるようにグングン伸びてくる。

いままで上にいたヤツが追い越されてしまったケースもありますよ。だから、こいつは完全にダメだという人間はいないですよ。何かいいものを持っている。それを引っ張り出してやれば、あがってくるんです」

要はそれを見出す幹部の眼力にかかってくるし、また、なんとか見出そうとする温かい眼差しも必要であろう。いずれにしろ、人間の育成は、組織にとって最も難しい仕事には違いない。

この記事は幻冬舎plusからの転載です。
連載:ヤクザに学ぶサバイバル戦略
山平重樹

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