TV番組やさまざまなプロジェクトで、人の心に残る、サプライズ溢れる企画を次々と仕掛けてきた放送作家・脚本家小山薫堂氏。手土産にも、贈る相手を楽しませる思いがけないサプライズと心配りがこめられている。そんな彼のとっておきの手土産を教えてもらった。
膝カックンのようなフェイント感に満ちた手土産を
経営者から料理人、アーティストなど渡す相手は多岐にわたるという、放送作家・小山薫堂氏。
「自分が本当に好きなものを、おすそ分けする気持ち。それが手土産の鉄則だと思います。選ぶアイテムには、相手が負担を感じず、でも自分では買わないものと、大切な人の人生の記憶に残るようなものの2タイプがあります」
前者でお薦めというのが、かなや刷子の「歯ブラシ」と下鴨茶寮の「下鴨昆布」だ。「贈られた方がお返しに悩むような気遣いをさせないものがちょうどいい。誰にもらったか忘れたとしても、使っていて気持ちいいとか美味しかったと思えるものを選んでいます」
そして人生の記憶に残るようなものひとつが、アイヴァンの眼鏡だ。「眼鏡なら『未来がよりはっきり見えるように』、サングラスなら『輝かしい未来はきっとまぶしい』と一言添えて渡します」と、仕事で知り合った方のほか、おいしい食を提供してくれたシェフへ送ることもあるそうだ。
「手土産が単なる“マナー”になってしまってはつまらない。何も期待していない時に『こんなものを!? 』という方がおもしろいですよね。例えば、後ろから“膝カックン”をされて思わず笑ってしまうような(笑)。手土産は、そんなフェイント感に満ちている方がいいと思います」
小山薫堂のとっておきの手土産3選
1.使うほど歯になじむ、お気に入りの一品
かなや刷子「馬毛歯ブラシ」
「毛が広がらず、使えば使うほど歯と歯茎に馴染んで歯がつるつるになるので、僕も大のお気に入りです」と小山氏も愛用しているのが、大正時代創業のはけとぶらしの専門店かなや刷子の歯ブラシ。
「もらっても負担にならないアイテムなのでよく手土産にしています。以前渡した方から、『旅行にも持っていくし、朝晩、君のことを思い出すよ』と言われたのは、ちょっとうれしかったですね(笑)」
2.「未来が見える」そんな意味も込めて
アイヴァン「アイウェア」
渡すのはbless you! ならぬ「Glass you!」と名づけたギフトチケット。実は小山氏が以前からアイウェアを手土産にしていたことをきっかけに、今年このギフトチケットが誕生した。
大切な人へのメッセージが書きこめるメガネ型のギフトチケットで、小山氏は、自ら選んで眼鏡やサングラスを贈るほか、このチケットを贈ることもあるそう。
3.老舗料亭の上品ふりかけ
下鴨茶寮「下鴨昆布」
創業160年以上という京都の老舗料亭が作る「下鴨昆布」は、北海道産天然昆布を醤油で炊いたふりかけ。
「以前著名なイラストレーターから『手土産は気を遣わせず、このくらいがちょうどいい』とごま塩をいただいたことがあって、粋だなと思ったんです。この下鴨昆布は味もいいし、ふりかけなら贈られた方の負担にもならないと思います」
誰もが喜ぶご飯のお供だが、桐箱に入っているので見た目も上品。