PERSON

2022.12.07

今までに滑ったのは1800ヵ所超! 元アルペン日本代表・皆川賢太郎が薦める! 今、行くべきスキー場とは

世界中を飛び回りスペシャルな雪山を滑るスキーヤー、元アルペンスキー日本代表・皆川賢太郎氏に、国内外のスキーリゾートについて話を聞いた。これを読めばスキーをしたくなること間違いなし。【特集 絶頂スキーリゾート】

熱狂スキーヤー 皆川賢太郎

選手時代の年間のスキー滑走日数は200日、現在の年間のスキー滑走日数は40日、今までに滑ったスキー場は約1800ヵ所。

世界を飛び回るアクティブスキーヤー皆川賢太郎

アルペンスキーの日本代表として、4大会連続で冬季五輪に出場。トリノでは4位入賞を果たすなど、輝かしい経歴を持つ皆川賢太郎氏。第一線を退いた今も、世界を飛び回って滑り続けているアクティブスキーヤーだ。苗場スキー場のコンサルティングや、全日本スキー連盟の理事・競技本部長を務め、現在は安比高原スキー場の統括へ就任し、スキーリゾートの経営も手がける。日本のスキーカルチャーを積極的に支える人物でもある。

そんな熱狂スキーヤーの皆川氏を語るうえでハズせないのは、長年にわたるスキーライフのなかで、地球上の著名スキー場やスキーリゾートをことごとく網羅しているところ。他のプロスキーヤーとは異なる視点に加え、豊かな好奇心を持つがゆえに特別な経験を重ねている。

「世界各地で約1800ヵ所のスキー場を滑ってきたと思います。滑ることに集中するだけでなく、いろいろなスキーリゾートの実情を知りたい、そのエリアの個性を楽しみたいんです」

ヨーロッパ全域、北米や中国、それに南米まで滑り倒している皆川氏。特にハートを摑まれた場所はどこになるのか。

「スペインのなかでも南部に位置するシエラ・ネバダは、海に近いがゆえに興味深いビューポイントがあるのです。ゲレンデ上からジブラルタル海峡が見渡せるだけでなく、なんとアフリカのモロッコの砂漠まで眺められる。クールな雪上に立ちつつ、遥か向こうにホットな砂漠を目の当たりにできるロケーションは、きっとここくらいです」

スキーリゾートにも絶対に個性が必要

スキーチームをつくって、経営者らと毎シーズン、スキーに出かけていく皆川氏。そこでは必ず“行っておくべきスキー場は?”と多くの人に必ず聞かれるのだそう。

「そんな時、まずカナダのウィスラーを提案します。端的に言うなら雪山にディズニーランドを合体させたような場所。スキー設備からエンタメ施設をはじめ、必要要素が完璧に揃ったリゾートです。ホテルも5つ星以上が軒を並べており、クオリティも理想的。スキーレジャーの最先端といえるでしょう」

他方、ヨーロッパはエンターテインメントというよりも、昔ながらの地域性を生かした上質なスキー場が多いと言う。

「フランスのクーシュヴェルやシャモニーなどのスキーリゾートは、今も昔とほぼ変わらずクラシックで上品な雰囲気が特徴。また、スイスのヴェンゲンのように雄大な山が織りなす風景は特別。さらにここは環境に配慮した場所でもある。やはりリゾートにも“個性”は大切と感じています」

その他欧州のスキーリゾートは、クルマで各地を巡りながら楽しめるところも魅力だそう。

「北米系のリゾートは、ひとつのエリアに要素を集中させた利便性がポイント。ですが、ヨーロッパでは自分でクルマを駆ってさまざまなスキー場を回っていく旅のようなスキー体験を楽しめます。スイスを中心に数ヵ国に山がつながっているので、そういったツアーが可能なのです。スイスには自分のクルマに座ったまま登っていける登山電車もありますから」

そして、海外を中心にキャリアを積んだ皆川氏は、日本のスキーリゾートは世界に負けないポテンシャルがあると断言する。

「安比をはじめ、日本にはパウダースノーという特別な“資源”があります。もちろんパウダースノー自体は世界各地でも降りますが、日本のそれは質や量がケタ違い。適度な湿度を保ちつつ、毎日、新雪が積もるのは日本くらい。これからさらに施設が充実し、サービスが拡充していけば、世界の著名リゾートと渡り合えることは間違いありません。そうなるよう自分も力を尽くして支援していきたいと思っています」

Kentaro Minagawa
元アルペンスキー日本代表
岩手ホテルアンドリゾート 顧問 兼 スキー事業統括本部 統括
一般財団法人 冬期産業再生機構 代表理事/会長
1977年新潟県生まれ。アルペンスキー選手として4大会連続、冬季五輪に出場する。2006年トリノオリンピックでは4位に入賞。引退後は全日本スキー連盟常務理事等を務める。現在、岩手ホテルアンドリゾートでは顧問兼スキー事業統括本部にて安比高原スキー場の経営に携わり、スキー産業全般の活性化に尽力している。

【特集 絶頂スキーリゾート】

TEXT=長谷川剛

PHOTOGRAPH=筒井義昭

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