1972年の設立以来、一貫して日本(福井県・鯖江)製の高品質なアイウェアを生みだし続ける「EYEVAN」。その眼鏡をかけた熱き男たちを写真家・操上和美が撮り下ろす連載「男を起動させる眼鏡」#45。【過去の連載記事】
PERSON 45
JAPAN CRAFT SAKE COMPANY 代表取締役/中田英寿
サングラスの文化が広がったことで日本ブランドにも良作が増えている
「眼鏡やサングラスに凝り始めたのは、18歳頃だと思います。19歳で初めてイタリアに行った時には、1月のセール時期だったこともあって、サングラスをごっそり買って帰ったことを覚えていますね。いろんなブランドを買い集めましたし、ヴィンテージのサングラスにハマったこともありました。今でも視力は1.5から2.0あるので、視力矯正のために眼鏡をかけることはありません。むしろ周囲からの視線との仕切りとして、サングラスを使うことが多いですね。だからレンズの色にはかなりこだわりがあって、自分の目元が見えない濃い色のレンズを選びます。眼鏡もサングラスも、最初はデザインを重視していましたが、一日中かけていることもあるので、結局は自分の顔にフィットすることが大事になってくる。そのため鼻にあたる部分と耳の後ろの部分は、細かく調整してもらいます。ただ不思議と自分がいいなと思う眼鏡って、なぜか廃盤になってしまうことが多いんですよね……」
今回選んだのは、EYEVAN 7285の「775」。ウェリントンタイプのデザインに、角形のカシメがアクセントになっている。丁番は5枚タイプなので、かなり堅牢な作りになっている点も特徴だ。
「この眼鏡を選んだ一番の理由は、スーツにも合わせやすそうだから。スーツを着る時は眼鏡をかけることが多いのですが、スーツにサングラスを合わせたい時もある。もちろん眼鏡だってお洒落として楽しむものへと変化しているので、幅広く遊べるとは思います。でも僕はサングラスをほぼ毎日つけているので、スーツに合うものも探したい。TPOやファッションによって似合う眼鏡やサングラスはまったく違うので、これ1本あればOKとはいきませんからね」
現在は日本文化を世界に発信する活動に力を入れている中田さんは、日本の眼鏡文化についても考察する。
「僕はイタリアでの生活が長かったので、イタリアの眼鏡ブランドとは交流がありました。彼らから質の高い眼鏡は日本で作っていると聞いて、日本の眼鏡産業のすごさを知りました。実際に鯖江の眼鏡工場にお邪魔したこともありますが、これだけ細やかなこだわりを持っているなら、素晴らしい眼鏡ができるだろうなとも思いました。しかしその一方で日本では日常的にサングラスをかけないので、そういった文化背景がないとよいサングラスを作るのは難しいだろうなと考えたのも事実です。その時から比べると、日本でもサングラスを日常的にかけることも珍しいことではなくなりましたし、アイヴァンのようにお洒落なサングラスも増えてきましたよね」
中田さんにとって、サングラスは毎日かけるもの。そのために自分の気分を上げてくれるものを選びたいと考える。
「気持ちいいものに囲まれれば、人生は豊かになると思います。そうなると最終的には、“自分で作る”っていうことになるのかもしれませんね」
ここから新たなプロジェクトが始まるかもしれない。
Hidetoshi Nakata
1977年山梨県生まれ。サッカー選手としてW杯3大会連続出場。引退後は国内3000ヵ所以上の伝統産業などの生産者を精力的に巡り、世界に誇れる日本の文化継承に尽力。旅で見つけた日本の本物(者)を伝えるプロジェクト「にほんもの」を展開。現在は自ら茶葉を開発した日本茶ブランド「HANAAHU TEA」を立ち上げ、2022年11月の発売を目指している。
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