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2020.10.08

大谷翔平が登場曲に2Pacの『To live and die in LA』を選んだ理由【実践的行動学㉗】

幾多の試練を乗り越えながら、着実にスーパースターへの階段を上り続けるメジャーリーガー・大谷翔平。今だからこそビジネスパーソンが見習うべき、大谷の実践的行動学とは? 日本ハム時代から"大谷番"として現場で取材するスポーツニッポン柳原直之記者が解き明かす。

抜群の信頼を寄せる水原通訳が選曲

音楽には不思議な力がある。その音楽を聞けば当時の思い出が蘇る。涙が出る。力が漲る。そんな経験をしたことがある人は少なくないだろう。今季、大谷が本拠地の打席でふたつの登場曲を使い分けていたことをご存知だろうか。選曲した水原通訳がその理由を語ってくれたので紹介したい。

1、3、5打席目用は2Pac(トゥーパック)の『To live and die in LA(ロサンゼルスで生き抜くこと)』。2、4打席目に流れるのがルーペ・フィアスコ&ガイ・セバスチャンの『Battle Scars(戦いの傷痕)』だった。

北海道苫小牧市生まれ、ロサンゼルス育ちの水原通訳は『To live and die in LA』を選んだ理由ついて「僕が小さい時から好きだった曲です。エンゼルスの本拠地はアナハイムですけど、チーム名はロサンゼルス・エンゼルスっていう名前なので合うかなと思って。すごく有名で定番というか、ロサンゼルスだけでなく全米で誰もが聞いたことがあるくらいのレベルの歌なので」と説明した。大谷にとって本拠地近郊は居を構え3年目の地元。メジャーで生き抜く覚悟を示すにはぴったりの曲だろう。

続いて『Battle Scars』。曲中の「These battle scars, don't look like they're fading(戦いの傷痕が消えていくようには見えない)」という歌詞が印象的だ。水原通訳は選曲理由について「(ルーペ・フィアスコ&ガイ・セバスチャンは)学生時代から好きなラッパーです。結構古い曲ですけど、昔から好きで歌詞を改めて読み返したら、今の翔平と重なる部分があるなと思って勝手に選びました。傷は癒えることはないみたいな歌詞で、合うかなと」と語る。

今季は'18年10月の右肘じん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)、昨年9月に受けた左膝膝蓋(しつがい)骨手術から二刀流復帰を目指すシーズンだった。右肘と左膝の"傷痕"とともに戦う決意を登場曲に込められていた。

ここまで選曲経緯を説明してきたが、大谷が選曲に全く関わっていないのが分かる。水原通訳は「翔平は(音楽情報が)全くゼロだと思います(笑)。僕が車内で流して"これ流行っているらしいよ"とか言っていますけど」と言う。ただ、大谷が選曲を人任せにしているのは、音楽に無関心というより、水原通訳を心から信頼しているからでもあるだろう。

今季のエンゼルスの打撃ケージでは日本のロックバンド「King Gnu(キングヌー)」の曲が流行っていた。これも"仕掛け人"は水原通訳だった。大谷の打撃練習中に爆音で流し、若い選手から年配のコーチまでみんなが大好きなバンドになったという。

ちなみに「投手・大谷」は日本ハム時代の'15年からアフロジャック VS サーティー・セカンズ・トゥ・マーズのリミックス「Do Or Die」を使用する。入団以来3年連続でポストシーズン進出を逃した大谷は今、悔しいオフを迎えている。車中で今季の登場曲が流れれば、きっと悔しさが蘇るだろう。この思いが来季以降への糧になるように。担当記者としてそう願ってやまない。

TEXT=柳原直之

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