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2020.05.23

音楽プロデューサー亀田誠治が考えるGood Musicとは?~男性ボーカル編【連載】

新型コロナウイルスの蔓延で休止しているエンタテインメント。やがて再開するときに、どんな音楽が求められるのか。スピッツ、GLAY、平井 堅、スガシカオ、back numberなど数多くのアーティストのサウンドプロデュースに携わってきた亀田誠治が思うGood Musicとは――。今回は亀田が魅力を感じる男性ボーカリストについて聞いた。

男性ボーカルの新時代が来る!

亀田には10代から憧れる存在がある。小田和正だ。

「高校2年生までは、洋楽を中心に聴いてきました。男性ボーカリストや男性ボーカルのバンドでは、イーグルス、ジェームス・テイラー、デヴィッド・ボウイ、ブライアン・フェリー、スティーヴィー・ワンダー、ライオネル・リッチー……などです。ジャンルにこだわることなく、小学5年生から高校2年まで全米トップ40を全部聴き、自分のトップ40を考え、架空のラジオ番組をつくっていました。そんな時期にラジオから流れてきた小田さんのオフコースの音楽に出合った。デュオからバンドになって、『さよなら』や『Yes-No』がヒットしたころです。アレンジも、サウンドも、歌詞も、洗練されていました。小田さんはシンプルな言葉を美しくメロディにのせていきます。説明ではなく、情景を描いていく。例えば”君”や”風”と”街”……少ない言葉で、あれほど豊かに情景や心情を表現できる人は他にはいません」

小田和正のアーティストとしてのスタンスにも憧れた。

「1970年代の洋楽は、まだ、ドラッグとセックスとロックンロールがセットで語られていました。日本のミュージシャンも無頼が支持される傾向がありました。ところが、小田さんは違った。知性が感じられた。ファンは知っていることですが、オフコースは“of course”ではなくて“off course”。コースを外れるという意味です。小田さんは東北大学の工学部を卒業して、早稲田大学大学院の理工学研究科を修了されましたが、研究職になったり、技術系の企業に勤めたりするのではなく、音楽の道へ進みました。僕も進学校に通っていて、親もまさか本気でミュージシャンになろうとしているとは思っていなかったはずです。大学を卒業してバンドマンになることは、なかなか親の理解を得られませんでした。僕が今も愛用する1966年のフェンダー ジャズベースは当時ローンを組んで購入しましたが、父は保証人になってくれなかった。バンドマンにするために大学までいかせたわけではない、という気持ちだったのでしょう。父の気持ちはよくわかります。そんなとき、小田さんの存在にはとても勇気づけられました」

ボーカリストにはそれぞれ持ち味がある。では、複数のアーティストが参加するフェスでオーディエンスに強いインパクトを与えるボーカリストとは――。

「まず、誰もが知る大ヒット曲を持つボーカリストは強い。たくさんいますが、たとえば矢沢永吉さんやサザンオールスターズの桑田佳祐さんは、たとえアウェイだとしても登場しただけで会場を自分の色に変えてしまう。ステージに上がって、今日はよろしく! の一言で、会場の空気を全部自分のものにしてしまいます。矢沢さんや桑田さんよりも少し若い世代だと、氷室京介さんやGLAYのTERU君 、ミスチルの桜井和寿君も圧倒的にアウェイに強いですよね。1990年代の音楽シーンを塗り替えた氷室さんやTERU君や桜井君。彼らの武器は情熱をのせたハイトーンボーカルでしょう。心の高まりを力強く伸びのある声で歌い、その生き様を上手に音楽にとりこんで届けることができます」

亀田は1990年代で、日本の男性ボーカリストは一つのピークを迎えたと感じた。しかし、ここ数年、次のフェイズが訪れるきざしがあるという。

「King Gnuの井口 理君やOfficial髭男dismの藤原 聡君の登場には驚かされました。彼らのファルセットはすごく美しい。彼らによって、日本の男性ボーカリストの音域が広がりました。まもなく男性ボーカルの新時代がきますよ。いや、すでに訪れているかもしれません。長い音楽史を経て、メロディはもう出尽くしたんじゃないかと言われていますよね。でも、新しい世代が音域を広げたことによって、僕たちは今までに聴いたことのない音楽を体験できるかもしれません。これ以上の高音域は無理、と多くの人が諦めていた音が出せるようになっています。井口君や藤原君はポップスの新しいページを開きました」

Seiji Kameda
1964年生まれ。音楽プロデューサー・ベーシスト。これまでに数多くのミュージシャンのプロデュース、アレンジを手がける。2004年に椎名林檎らと東京事変を結成し、ベーシストとして参加(”12年に解散、’20年に再生を発表)。 “09年、自身初の主催イベント“亀の恩返し”を日本武道館にて開催。 ’07年の第49回、’15年の第57回日本レコード大賞にて編曲賞を受賞。近年はJ-POPの魅力を解説する音楽教養番組『亀田音楽専門学校(Eテレ)』シリーズが人気を集めた。 ’19年5月、自身が実行委員長を務めるフリーイベント「日比谷音楽祭」が開催され、2日間で10万人を動員。

TEXT=神舘和典

PHOTOGRAPH=大森直

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