師匠か、恩師か、目をかける若手か、はたまた一生のライバルか。連載「相師相愛」第40回は、開成中高の同級生の起業家と音楽家。
freee CEO 佐々木大輔が語る、根本卓也
中学1年の時にクラスが一緒でしたが、謎の男でした。成績はトップクラスの一方、ピアノもお金が取れるんじゃないか、と思えるくらいうまかった。しかも、超物知りで、わからないことは根本に聞け、というのが僕たちの口癖でした。在学中から有名人でしたね。
そんな彼と一緒にカラオケに行ったら、「歌がうまいじゃないか」と音楽部に誘われて。合唱や吹奏楽で一緒に演奏したりして、ここでも2年間一緒に過ごしたんです。その後、高校1年でまたクラスが一緒になりました。
彼は藝大卒業後、フランスに5年間の音楽留学をしていて、僕はその時グーグルに在職していた。海外出張のタイミングが合えば会えるな、と思っていたんですが、かなわず。結局、後の同窓会でようやく会えたんです。昔からですが、とにかく堂々とユニークでいられる、というのが本当にすごいと思っています。このくらい普通じゃないヤツと一緒にいたからこそ、自分も思い切った道に踏みだせたんだと思うんです。
ちょうど TEDでリーダーシップについて指揮者が語っているのを見たことがあって、それを見ながら根本と一緒に議論したいな、と思っていました。根本だったら、どんなふうに考えるのかな、と。時間を取って、ちょっと一度、TED会をやろう。
最近は、幼い子どもを連れて遊ぶパパ会というのをやっているので、ここにもぜひ。僕らの世代は子育てに関与するのが当たり前。だったら、これもエンターテインメントにしちゃえ、とみんなで楽しんでいる会。子どもを連れて、ぜひともに。
指揮者 根本卓也が語る、佐々木大輔
入学後1ヵ月で交通事故に遭った男、というのが何よりの記憶ですね。休み時間に仲間とアイスを買いに行き車と接触して。軽傷でしたが、おかげで以降、校門が閉じられるように(笑)。
一ヵ所に留まらず、常に動き回っていたな、というのが当時の印象です。アキバ系だった僕らに対して、佐々木たちは学外との交流も活発で流行り物も好きだったりしてね。僕は勝手に前者を地味’s、後者を派手’sと呼んでいました(笑)。高校の頃、私立の男子校で校章の入った指定鞄が流行り始めたんですが、佐々木は当時からそれを自分たちで作って販売していましたね。
フランス留学から戻って僕は浦島太郎状態だったのですが、SNSを通じて声をかけてくれたのは主に派手’sのみんなでした。それで佐々木とも久しぶりに会えて。その後、彼は起業しましたが一番フィットしていると思いました。声も前より落ちついたトーンになり、経営者の風格が出てきた印象です。あったらいいな、という事業をやってくれて、とても誇らしいです。
僕はオペラ劇場での仕事が一番多いのですが、実は複数の指揮者によるチームプレイで、取りまとめなければいけない人数も、歌手や役者を含めると大変な数になります。まったく違う人生を送ってきたと思いますが、佐々木のように起業した友達のインタビューを読んだりすると、どうやって人をマネジメントするのかが、とても勉強になります。リーダーとして、わかりやすく的確なツボを突いているんですよね。
TED 会でのディスカッション、ぜひやりましょう。freee内の職種構成なんかも聞きながら、いろんな話がしてみたい。パパ会も、子どもが生まれたばかりなので、ぜひと。
Daisuke Sasaki(左)
1980年生まれ。開成中学・高等学校を経て、一橋大学を卒業。博報堂、CLSAキャピタルパートナーズ、ALBERT、グーグルなどを経て、2012年より現職。
Takuya Nemoto(右)
1980年生まれ。開成中学・高等学校を経て、東京藝術大学大学院修士課程(指揮専攻)修了。作曲家、演奏家、新国立劇場オペラ部門音楽スタッフとして活躍。