師匠か、恩師か、目をかける若手か、はたまた一生のライバルか。相思相愛ならぬ「相師相愛」ともいえるふたりの姿をご紹介。第3回は、新潟の経済界を大いに盛り上げる経営者たち。
山井 新発田の本社での初対面が、とにかく強烈でした。
山本 証券会社の営業担当と一緒に来たんだよね。
山井 まだ上場を迷っている時期で、話を聞いてみたらいいんじゃないかと。オーラと温かさが共存していて、こんな人がいるのか、と思いました。
山本 自分の10年前を見ているみたいだったね。肉食系で、超カッコマンで(笑)。
山井 上場時の記念盾や東証で鐘を鳴らしている写真を見せてもらって。僕にとっては最高のプレゼンテーションでした。
山本 リアルな体験を伝えるのが一番いいと思った。男ならやってみたら、と。
山井 そんな優しい言い方じゃなかった(笑)。「君、男だよな」「はい」「経営者だよな」「はい」「だったら、なんで上場しないんだ」みたいな。
山本 会った瞬間、これは上場できる男だ、と思った。目先の損得なんかより、大事なミッションを追求している。やっぱり大切なのは理念なんですよ。40代でもがき苦しんでつぶれそうになった自分をリセットして気が付いたのが、それだった。理念を命がけで語り続けるのが、私の仕事だと思っているから。
山井 学ばせてもらっているのは、理念を掲げながらもきちんと会社に血が通っている点です。それは、トップの人徳であり、人間性だと思う。新潟経済同友会の筆頭代表幹事もされていますが、お付き合いをしていて私利私欲を感じない。いつも公の意識が先に立っている。
山本 知り合った人みんなでよくなっていこうよ、とただ思っているだけです。そうすることで新潟がよくなっていくし、日本がよくなっていくと思う。還暦を過ぎて思うことは、正しいことをしっかりやっていれば、いい答えが出てくるということ。
山井 自分の10年後が見えるというか、この人の歳になった時に、こういう存在でいたい、といつも思わせてくれるんですよね。だから、教わったことは若い人たちに伝えていきたい。
山本 私が週に一度は時間を取っているアーチェリーでスノーピークに何かしてほしいね(笑)。
山井 携帯電話の待受画面が、自分のアーチェリー姿ですからね(笑)。孫もいるのに(笑)。
山本 ほら、ふたりともカッコマンだからさ(笑)。でも、カッコって、大事。デザインだって、センスだって、カッコだもの。でも、やっぱりオレのほうがカッコいいかな(笑)。
山井 そのとおりです(笑)。
スノーピーク 代表取締役社長 山井 太(左)
1959年生まれ。オートキャンピングのパイオニアメーカーとして日本のアウトドアシーンを革新。本社には、キャンプフィールドが併設されている。
ハードオフコーポレーション 代表取締役会長兼社長 山本善政(右)
1948年生まれ。リユース・リサイクル品の仕入れ販売を行う「ハードオフ」を創業。3Kと呼ばれたリサイクルショップのイメージを払拭した名経営者。