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2024.06.22

F1、カジノ…だけじゃない! 今、大人がモナコに行くべき5つの理由

F1ドライバーの多くも暮らし、富裕層向けの観光立国の印象が強いモナコ。実は今、地球環境に責任を持つ、レスポンシブル・ラグジュアリーへと大きく変貌している。編集部がモナコ現地を取材し、今、体験すべきこと、そして行くべき理由を探った。

モナコの眺め
地中海性気候で四季はありながらも温暖な気候。F1ドライバーが多く住んでいる国だけに、朝ランの最中にすれ違う可能性も!? もちろんフェラーリやランボルギーニを眺めながら走れるのもモナコの特権。

サステナブルな取り組みと一流のラグジュアリーが共存

注目のデスティネーションとして、今、話題のモナコ。南仏ニースのコートダジュール国際空港からクルマで約30分。F1やカジノ、ロイヤルファミリーと煌びやかな印象が強い国が、アルベール2世大公を牽引役に、主な産業の“観光”を通じて、サステナブルな取り組みを次々と実現している。買い物や観光だけでなく、旅することで新しい価値を生む。モナコはそんな旅を提案してくれる。

モナコの面積は皇居の約2倍。限りある環境で持続可能な農業を行うシステムがテラエ(Terrae)である。屋上やバルコニー、ホテルやレジデンスの一角で野菜や果物を育て、養鶏や養蜂も行う。

人気シェフ、マルセル・ラヴァン氏がいち早く取り入れ、中庭の専用の畑ではその日の夜に使う野菜を新鮮なまま収穫され、レストラン「ル・ブルー・ベイ マルセル・ラヴァン」の美しくヘルシーな野菜料理として食せる。

フェラーリやランボルギーニが走る車道の横には緑溢れる公園や旧市街、そしてテラエも。そのギャップもモナコの魅力。海と山が近く、360度素晴らしい景色が広がるので、滞在中はランニングや散歩に出かけてほしい。モナコ政府観光会議局が掲げるキャッチフレーズ「Like Now here Else」“比類なき美しい国”を、全身で体感できる。

モナコに滞在したら、どんな体験ができるのか。グルメ、アート、カジノ、オペラ、バレエ、スポーツイベントも選び放題である。そしてサステナブルに裏打ちされた星つきレストランでパーマカルチャーに触れることが、旅を意味あるものにする。

モナコのマルシェ
モナコと言えば、マルシェが有名。地元の人も観光客も混在して買い物を楽しむ姿が。モナコの通貨はユーロ。メインのショッピングアワーは10時から19時。通貨の持ちこみは、現地通貨、外貨ともに無制限。

またとあるグルメなツーリストは、朝ごはんならイタリアのマーケット、ランチはフランスの小さなビストロ、そしてモナコのホテルに戻り、ジャケットに着替えディナーは星つきレストランと、1日で3ヵ国の食が楽しめるよと、なんとも斬新でユニークな過ごし方を教えてくれた。そんな贅沢なグルメツアーも、モナコならではだ。

そして、サステナブルなゴールに向かい積極的な心意気を知るために、カーシェアリングのMobee(モービー)や電動自転車MonaBike(モナバイク)も体験してほしい。モービーの充電スタンドは、街中の650ヵ所に設置され(200ヘクタールの面積に、この数はある意味すごい)、国内ならどこからでも自由に利用でき、乗り捨ても可能というから、ビギナーでも安心。さらに公共バスもバイオディーゼル車というから、カーボンニュートラル実現への歩みはかなり徹底している。

一時期は、カジノやクルーザーを盛んに楽しむ、富裕層のデスティネーションというイメージが強かったモナコが、今や地球の未来を担うレスポンシブル・ラグジュアリーへと大きく舵を切った。バカンスに訪れた人にもそんな国の取り組みを知ってほしいと、食や交通、エネルギー開発などで、それらを積極的にアピールしている。

サステナブルな取り組みと一流のラグジュアリーを共存させ、世界的にもリードするモナコ。次の旅先には、世界が目指すべきレスポンシブル・ラグジュアリーを学びに、ぜひモナコを訪れてほしい。

理由1.街全体がサステナブルに変貌。2つ星シェフも尊重するパーマカルチャーが熱い。

モナコの美食家たちの間で最も予約困難なテーブルが、モンテカルロ・ベイ・ホテル&リゾートの「ル・ブルー・ベイ マルセル・ラヴァン」である。2022年にミシュラン2つ星を獲得したマルセル・ラヴァン氏は、ホテル内の400平米の自家農園でディナーに提供する野菜を自ら収穫。モナコでは現在、限られた環境で野菜や果物を育てる持続可能なシステム「テラエ」を国が推奨し、アルベール2世財団が支援している。

理由2.山と海がわずか15分。街全体が自然豊かなトレーニングコース。

モナコでぜひとも体験してほしいのが、街中でのランニングやウォーキングである。年間300日を超える晴天のうえ、山と海が近いモナコには、抜群のアウトドアトレーニング環境があるからだ。高級クルーザーが停泊する港をスタートしてモナコ・ヴィル地区を走るコースはお薦めだ。旧市街特有の風光明媚な景色を横目に楽しみながら、ゆるい坂道のゴールには大公宮殿がある。気持ちよさと達成感を得られるはずだ。

理由3.イタリアで朝飯、昼はフランス、ディナーはモナコ。1日で3ヵ国の食が堪能できる。

モナコ公国はフランスに接し、イタリアにも近いゆえ、モナコを起点にすれば、1日で3ヵ国を巡る旅も楽しめる。朝、モナコのホテルで目覚め、クルマで海沿いの道を30分ほどのイタリアのベンティミーリアへ。新鮮な魚介の朝食後は名物の市場で買い物。ランチはクルマで約10分のフランスのマントンへ。午後にはモナコに戻ってこられるので、ホテルで寛ぎ、街の中心地でディナーと、贅沢なグルメツアーも可能。

理由4.ヨーロッパ随一の治安のよさが街の魅力。

コロナ禍以降、ヨーロッパの各地では治安状況の悪化が大きな懸念だ。そんななかで、唯一治安を気にせず旅が楽しめるのが、モナコではないだろうか。街中いたる所に防犯カメラが設置され、皇居の2倍の国土を800名の警察官が守っているからか、犯罪率はかなり低い。もちろん街中にホームレスはほぼゼロ。旅先で無駄な緊張感がないのは、何よりである。

モナコのモナバイク
「モナバイク」は政府とモナコ・バスが提供する電動自転車シェアリングサービスで、300台の自転車と35ヵ所のサイクルポートを完備。気軽に自転車で街を回れるのも、治安のよさゆえ。

理由5.モナコグランプリのヘアピンをMobeeで走り抜ける特別感!

アルベール2世大公は2030年までに温室効果ガス排出量を半減(1990年と比較)、2050年までにカーボンニュートラル実現を発表。その取り組みのひとつとして誕生したのが、電気自動車のカーシェアサービス「モービー」。24時間利用でき、モナコ国内ではどこでも乗り捨てが可能という手軽さ。さらに観光客はプリペイドカードを使い、1時間単位で利用できるので、F1コースをモービーで走り抜ける、なんて体験も。

TEXT=今井恵

PHOTOGRAPH=峯岸進治 COOPERATION=モナコ政府観光会議局

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