インパクトの理想は、アドレスと同じ形なのか否か?

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム39回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
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「アドレスの再現」という言葉の魔力

「インパクトはアドレスの再現だ」という言葉。ゴルファーなら一度は耳にしたことがあるはずだ。しかし、実際のところどんなプロもアドレスとインパクトの形が完全に一致することはない。

もちろん、まったく同じにしないまでもクラブをインパクトの位置に戻すとか、肩の開きを抑えるなどの文脈で使われるのかもしれない。でも聞いた人は、スイング中にアドレスの形を作ろうとしてしまう。それくらい力の持った言葉なのだ。

インパクトの形はただの結果に過ぎない

ではなぜアドレスの形を再現してはいけないのか。理由は2つある。

1つは、そもそもアドレスとインパクトの形が違うからだ。インパクトでは体が回転しているため腰や肩は開くし、足も地面を蹴った状態になっているのが理想。これはともにアドレスではみられない形だ。

そしてもう1つの理由は、インパクトの形を意識することでその姿勢を作りにいってしまうためだ。スイングはアドレスからフィニッシュまで連動した運動動作である。その中の一部にインパクトがある。インパクトの1点にフォーカスしてしまうと、力が入り連動性が損なわれてしまう。体が回転しているなかでアドレスの形を作ろうとすると、その動きにブレーキをかけてしまうのだ。これはヘッドが減速する要因にもなるし、手打ちを助長する可能性もある。クラブポジションに関しても、フェースアングルなどあまり変わらないものもあるが、トゥダウンなどの力がクラブに働くのでアドレスとインパクトが全く同じになることはない。

そもそもインパクトでは様々な力が働いており、頭を動かさないことや前傾角度をキープするなどという単純なことでアドレスを再現しようとすること自体に無理がある。

インパクトを意識するより無視する

インパクトは意識をするより無視をしてほしい。重要なのはアドレスからフィニッシュまで体全体が連動して流れるように動くことだ。

レッスンを受ける際に、フォローでの動きに関してアドバイスを受けたことはないだろうか。私もフォローでヘッドを放り投げるようにとか、フィニッシュで3秒間静止するといったアドバイスをすることがある。

そんな時「どうしてインパクト後の事なんか気にするのか」という質問をしばしば受ける。当たった後の事なのだから、球筋には影響がないのではないのかと聞かれる。確かにフォローでクラブを投げようが、フィニッシュで転ぼうがインパクト後ならボールへの影響はない。

しかしそれを意識して振ることで、インパクト以前からフォロースルーまでの一連の流れが変わってくる。インパクトでボールを点でとらえるのではなく、軌道の中でとらえることができるようになり、結果としてインパクトが安定する。

切り返しから上半身に力を込めてボールをたたきに行ってしまうアマチュアは、インパクトを強く意識しすぎる傾向がある。そのようなアマチュアはインパクトの理想の形を作ろうとせず、軌道の中でボールをとらえるくらいのイメージがちょうどよいだろう。

どうしても形を確認したいのなら、アドレスからフィニッシュまで、超低速でスイングをしてみるのがおすすめだ。太極拳のようにゆっくりとした動きで、アドレスからフィニッシュまで1分くらいをかけ素振りをしてみるといいだろう。

各ポジションでの体の位置や連動性を確認でき、体幹の強化にもつながる。やってみると分かるが、2~3回行うと汗だくになるほどキツイ。どうしてもインパクトの形が気になっているのであれば、ぜひトライみてほしい練習だ。

次回に続く

Text=吉田洋一郎 Photograph=小林 司 Cooperation=取手桜が丘ゴルフクラブ





吉田洋一郎
吉田洋一郎
欧米のゴルフスイング理論に精通するゴルフスイングコンサルタント。世界4大メジャータイトル21勝に貢献した世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターを2度にわたって日本へ招聘し、世界一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。また、欧米の一流インストラクター約80名に直接学び、世界中のスイング理論を研究。海外ティーチングの講習会、セミナーなどで得た資格は20以上にのぼる。シングルを目指すアマチュア、トップアマ、ツアープロまでアスリート志向のゴルファーを指導。2019年ゴルフダイジェスト・レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。
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