巨匠コーチ・レッドベターが本当に伝えたかったボディターンとは?

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム42回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
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腕を振ることへのアンチテーゼだった

“ボディターン”というレッスン用語を一度は耳にしたことがあるはずだ。ただその一方で、この用語の正しい意味を知っている人は少ない。ボディターンという言葉が最初に使われたのは、多くのメジャーチャンピオンを育てたコーチ、デビッド・レッドベターの著書に由来する。1990年代はじめにレッドベターが記したレッスン書『ザ・アスレチックスイング』が日本語に翻訳される際、上半身と腕を同調させる一連の動きが「ボディターン理論」と訳された。ではなぜ「同調=ボディターン」となったのか。

当時のクラブは今よりもヘッド体積が小さく反発係数も小さかったため、腕を積極的に振ってクラブヘッドを旋回させて飛距離を出していた。しかし腕を使うほど、フェース面が目標方向を向く時間は短くなる。少しでも早く閉じればフェース面は左に向き引っ掛け、遅れれば開いてプッシュアウトとなるからだ。

このミスのリスクを下げるためにレッドベターが推奨した動きが、体と腕の同調だ。具体的には胸と両肘の空間がスイング中変わらない状態でスイングする動きだ。それまでの「腕を積極的に使うスウィング」ではなく、「腕の動きを抑えながら体を主体的に使う」ことが重要なのでボディーターンと訳されたというわけだ。

回る順番は「下半身→上半身→腕」

「ボディターンを意識して」と言われても、体を回す事だけに注力しないでほしい。そもそも「ボディターンを意識し振って」と伝えると、たいていのアマチュアは、ダウンスイングで上半身の回転が先行して左肩が開き振り遅れになってしまったり、上半身と下半身を一緒に回転させてフラットな軌道となってしまう。どちらとも体を回転させることだけに意識がいってしまい、肝心の体の動かす順番が抜けていることが多い。

スイングで先行するのは、どんなときも下半身である。下半身から切り返しが行われ、上半身、腕の順番で動く。ボディターンという言葉を聞いた瞬間に上半身や腰を回すことに意識が集中するため、切り返しでの下半身の始動が忘れられてしまうのだ。

下半身から始動することさえできれば、その動きにつられて上半身、腕が連動して動くようになる。この動きの順番「運動連鎖」があったうえでの体と腕の同調だ。腕を意図的に使わないため打ち出しの方向がブレることもなくなるし、下半身につられて上半身や腕が振られる状態を作り出せるためヘッドスピードの向上も見込める。

今後レッスンなどで“ボディターン”という言葉に出会った際には、それがどんな意味で使われているのかまで考えてから動きに落とし込んでみてほしい。

次回に続く

Text=吉田洋一郎 Photograph=小林 司 Cooperation=取手桜が丘ゴルフクラブ



吉田洋一郎
吉田洋一郎
欧米のゴルフスイング理論に精通するゴルフスイングコンサルタント。世界4大メジャータイトル21勝に貢献した世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターを2度にわたって日本へ招聘し、世界一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。また、欧米の一流インストラクター約80名に直接学び、世界中のスイング理論を研究。海外ティーチングの講習会、セミナーなどで得た資格は20以上にのぼる。シングルを目指すアマチュア、トップアマ、ツアープロまでアスリート志向のゴルファーを指導。2019年ゴルフダイジェスト・レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。
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