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2021.10.21

夜はマイナス100℃!? 月面の居住施設ってどんな場所?

ミサワホーム

技術部担当部長で、かぐやプロジェクト課長を兼務する秋元さん。第51次南極観測隊に同行し、越冬を経験。模型は50分の1の移動基地。

南極に輸送した移動式基地。次なる目標は月面を目指す

月面に観測隊員が滞在する時代になったら、安全に過ごせる居住施設が求められる。では、いったいどのような場所になるのか。

住宅メーカー、ミサワホームでは南極・昭和基地の建物の受注経験を生かし、月面基地計画を進めている。

ミサワホームが昭和基地の部材製造を入札で受注したのは1968年。建築部材を準備するだけではなく、社員も南極で越冬し、建物の維持管理に努めている。2009年から約2年、現地に滞在した技術部担当部長の秋元 茂さんは話す。

「輸送には部材の大きさや重さに制限があります。そのなかで安全で快適な建物を目指さなければいけません。断熱性能を高くし、風も強いため、構造性能も重視。さらに建設技術をもたない観測隊員でも組み立てられる簡易性も求められます」

南極で培った技術を月面基地建設に生かす

こうしたノウハウの積み重ねは、月面基地にも生かせるのではないか。’17年にJAXA「宇宙探査イノベーションハブ」が実施した研究提案募集に、「持続可能な新たな住宅システムの構築」を提出。提案は採択され、ミサワホーム内に「かぐやプロジェクト」が結成された。

「現在は、アイデアを練っている状況です。月の気圧を考えると四角い建物よりドラム缶状がよく、そのなかに四角い建物を入れたらどうか。地表に建てるよりも埋めこみ型が望ましいのではないか。そんな研究に日々励んでいます。月面は寒暖の差が激しく、夜はマイナス100℃にもなる。課題山積ですが、個人的には10年以内に月面での建設を実現させたいです」

秋元さん率いるチームでは、現在、設計や素材選びなど試行錯誤を重ねている。

「特に木造の建物に可能性を感じています。宇宙への資材の運搬は1㎏1億円といわれていますが、木材は軽くて、環境にも優しい。素材から部品まで、最適なものを見つけたいです」

コンテナユニット

運びやすいようにコンテナユニットをふたつ組み合わせる。釘や接着剤は使わず、ラチェットレンチなどの一定工具で組み立てられる。©国立極地研究所

『ミサワホーム』HISTORY
1968年 南極・昭和基地の居住棟を受注
1975年 ミサワホーム社員が南極観測隊に同行。現在までのべ18名の社員が参加
2017年 JAXA「宇宙探査イノベーションハブ」事業に、「持続可能な新たな住宅システムの構築」が採択される
2018年 「かぐやプロジェクト」発足

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TEXT=川岸 徹

PHOTOGRAPH=鈴木規仁

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