つい忘れがちになることこそ大切に。小さな意識改革がセンスを形作る
長年にわたり「ていねいな暮らし方」を提唱してきた松浦弥太郎さん。私には縁遠い方だと思っていましたが、ふと目に止まったこの本は経営者にもすとーんと刺さり、気持ちが落ち着いていく、漢方薬のような1冊でした。
本書でいうセンスとはつまり、生き方のこと。AIが作業の多くを肩代わりしてくれる効率的な世の中になったからこそ、「どうしたらクリエイティヴな人間になれるか」を考えることが、これからの時代をセンスよく生きるカギになる。そのためには、「すべてを自己決定すること」「時間とお金の管理ができること」「工夫と発明にいそしむこと」という3つを自分に課して、実現していくのが重要だと松浦さんは言います。
また他にも本書で述べられている、人との愛情を持った対話や「ギブ&ギブ精神」でのコミュニケーションなどは我が社でも大切にしていて、「これでよかったんだ」と答え合わせをしているような気持ちで読み進められました。一見、非効率や無駄だと思う小さなことを大切にすることが、自分なりのセンスをつくっていく。毎日楽しく仕事をするためにもう一度、〝センス=生き方〞を問い直してみるのもいいかもしれません。
『仕事のためのセンス入門』
松浦弥太郎 著
筑摩書房 ¥1,430
Mayuko Saeki
ヴィエリス代表取締役。全身脱毛サロン「メンズキレイモ」等を60店舗以上展開。1600人の従業員とともに、SDGsの実現にも積極的に取り組む。移動時間はすべて読書に費やす読書家。