世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子による、【連載 吉田洋一郎の最新ゴルフレッスン】205回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。【過去の連載記事】
【ピッチングウエッジも選択肢の一つ】
バンカーショットが苦手だという人は少なくない。バンカーショットにそこそこ自信があるという人でも、毎回ピンに寄せる自信がある人は多くはないだろう。
グリーン近くのアゴが低い小さなガードバンカーなら比較的グリーンに乗せやすいが、直径が15ヤード以上ある大きなガードバンカーだと状況が変わってくる。そのような大きなバンカーだと、グリーンに乗せるために長い距離のショットを打たなければいけない。もう一度バンカーに入らないように、15ヤード以上の距離を打つ必要があるのだ。更にグリーン奥にピンが切ってあると、カップまでの距離は30ヤード以上になり、グリーンに落ちてからのランも必要になる。
このような状況になると、ボールをクリーンに打って飛距離を出そうと考える人がいるが、トップをするリスクがある。しかし、もう一度バンカーショットを打つのも避けたい。普段、バンカーショットの練習をしている人でも、遠い距離のバンカーショットを練習しているという人は少ないため、どのように打っていいかわからないかもしれない。
そうなると、初級者や中級者は安全にピンを狙わずに「とりあえずバンカーから出す」という選択をしがちだ。自分の実力を過信せず、安全策を取るということは間違いではないのだが、もう一段レベルアップを目指してピンを狙ってほしい。
遠い距離のバンカーショットを成功させるためには、難しいテクニックは必要ない。クラブをサンドウエッジではなく、ピッチングウエッジに変えるだけでいいのだ。「バンカーではサンドウエッジ以外で打ってはいけない」というルールがあるわけではないので、バンカーで遠くへ飛ばしたければ、それに合ったクラブを持てばいい。さらに遠い40ヤード~50ヤードのバンカーでは、8番、9番のアイアンを持つことで楽に距離を出すことが可能になる。
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【トップに注意し、砂は厚めに取る】
バンカーショットでピッチングウェッジを持つことのメリットが理解できても「バンカーでは、サンドウエッジしか持ったことがないので、どうやって打ったらよいのかわからない」という人もいるだろう。しかし、サンドウエッジやピッチングウエッジ、そしてショートアイアンでも基本的に打ち方は変わらない。いつもと同じバンカーショットの打ち方をすれば、立ったロフトによってボールは遠くまで飛んでくれる。
バンカーショットのおさらいを兼ねて、打つときのポイントを挙げると、アドレスでは左かかとの内側にボールを置き、クラブは開いて構える。スタンスもオープンにする必要はなく、スクエアで構わない。スイング幅は普段のバンカーショットと同じ程度にし、小さくする必要も大きくする必要もない。ヘッドを走らせながら、バウンスを砂に滑らせながら打つようにしてほしい。
スイングをする際に気を付けてほしいことは、トップだけはしないことだ。遠い距離のバンカーショットでは、距離を出そうとしてクリーンにボールを打ちがちだが、バウンスを滑らせるようにして手前の砂ごとボールを打つことでトップを回避できる。ボール1つから2つ分ほど手前からクラブを入れて、少し厚めに砂をとるくらいのほうがいいだろう。だが、ダフリ過ぎも怖いので、スイング中は加速しながらインパクトするように気を付けて、ダフリ過ぎのミスがでないようにしてほしい。
バンカーからグリーンまで距離があるときも、「ついていない」と諦めてしまわずに、クラブを変えてチャレンジしてみよう。ピンチをチャンスに変えられるかもしれない。