世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム191回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。【連載 吉田洋一郎の最新ゴルフレッスンはこちら】
【余計なことは考えずに脱出することに集中】
トラブルショットのなかでも、バンカーショットを苦手にしている人は多い。ただでさえ難しいバンカーショットだが、砂の中にボールが埋まってしまう、いわゆる「目玉」はさらに厄介だ。ある程度キャリアのあるゴルファーでも、目玉のバンカーから脱出できずに何打も費やしてしまった苦い経験があるのではないだろうか。
目玉の場合、アゴの低い易しいバンカーでもリカバリーは難しい。「できればピンそばに寄せたい」などと欲を出してしまうと、大量の砂をまき散らした挙げ句に、ボールは数センチ動いただけ、なんてことにもなりかねない。
ボールが埋まって目玉になってしまったら、グリーンの落とし所やピンへの寄せ方などを考えるのは二の次と言っていい。まずは「とにかくボールを脱出させる」ことに集中する必要がある。
目玉では、ボールをふわりと上げるということは難しいうえに、うまくグリーンに乗せられてもスピンがかからず、ボールが転がりやすくなる。ピンが近ければ、大きくオーバーする可能性が高い。むしろ、ピンまでの距離が遠いほうが、ランを使って寄せるチャンスがあるかもしれない。ボールが止まりづらいので、グリーンの勾配や転がる方向を事前に頭に入れておき、絶対に落としてはいけない場所だけは決めておく必要がある。
【砂に負けないように思い切って打ち込む】
目玉から脱出するときのポイントは、深く砂に潜ったボールにクラブヘッドを届かせることだ。目玉の状況で、一般的なバンカーショットのようにバウンスを滑らせる打ち方をすると、クラブヘッドが砂に跳ね返され、ボールを飛ばすことができない。
深く砂に埋まったボールにクラブヘッドを届かせるために、クラブヘッドの刃の部分であるリーディングエッジを砂に潜らせるようにする。上から鋭角にリーディングエッジを砂にぶつけることで、砂の抵抗に負けずにボールにクラブヘッドを届かせることができる。
目玉から脱出する打ち方では、アドレスはボールが右足側にくるようにセットし、ハンドファーストに構える。このようなセットアップをすることで、リーディングエッジを砂に打ち込みやすくなる。バックスイングはコッキングを使ってクラブをアップライトに上げ、ダウンスイングでは上から打ち込むように鋭角にクラブを振り下ろす。
バックスイングはクラブを砂に深く打ち込むためにできるだけ大きくして勢いをつけたい。ボールが見えなくなるくらい深く埋まってしまっている場合は、フルスイングするくらいの大きさでクラブを振り上げてもいいだろう。
バックスイングを大きく上げたら、思いきりボールの手前に向かってクラブを振り下ろしていく。クラブは打ち込むだけで、振り抜く必要はない。「バックスイングは大きく、フォローは小さく」ということを意識して、インパクトしたらスイングは終わりという意識を持つといい。
実際に打ってみると、手にかなりの衝撃を受けるだろう。砂の抵抗はそれほど強く、しっかり打ち込まないとクラブが砂に負けてしまう。
目玉のバンカーショットからピンに寄る確率は高くはないため、我慢が必要な場面だ。そのピンチをうまく切り抜けられるかどうかでスコアも変わってくる。目玉から上手に脱出する技術を身に付けて、スコアアップを目指してほしい。