世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム174回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
【膝を大きく曲げると見た目が良くない】
新年を迎え、今年のゴルフの目標を立てた人も多いと思う。昨年1年間のプレーや練習を振り返り、良かった点と悪かった点を確認しながら目標を立ててみてほしい。
ゴルフを上達するためには、最終的なゴールを見据えながら課題をクリアしていくことが欠かせないが、時には立ち止まって基本を確認してみることも大切だ。なかなか上達しないと悩む人の中には、気づかないうちにスイングの基本的なスキルに狂いが出て不調に陥っていることが多い。そこで今回は基本に立ち返り、アドレスの作り方を確認したいと思う。
プロや上級者のアドレスをみると、見た目がカッコよく、いかにも良い球を打ちそうな雰囲気を漂わせている。アドレスの見た目が良いということは、機能性に優れているということでもあるので、アドレス時の姿勢を見ればある程度力量がわかるものだ。一目置かれるゴルファーになるためには、カッコいいアドレスをすることは欠かせない。
カッコいいアドレスと見た目の良くないアドレスを分けるもの、そのポイントは「膝」にある。
アドレスの見た目が良くない人は、たいてい膝が大きく曲がって骨盤が後傾したアドレスになっている。腰が落ち、膝がつま先よりも前に出てしまっているアドレスでは見た目が良くないのはもちろん、機能的にも問題が出てしまうので避けたいところだ。このようなアドレスをしている人は、膝を曲げてどっしり構えようとしたり、下半身に力を入れて固定させようと気を付けている場合が多い。
膝を曲げすぎてしまうことによる一番大きな問題は、前傾姿勢が取れなくなることだ。ゴルフスイングでは上半身が前傾した角度を維持したまま体を回転させてスイングする。ところが、膝を曲げすぎてしまうと骨盤の前傾角度が取れず、上半身が起き上がった状態になるため、そのまま体を回転させるとスイング軌道がフラットになり、かなりの横振りスイングになってしまう。このような状態では、振り遅れや手でクラブを操作するなどのミスが出やすくなる。
タイガーウッズをはじめとするPGAツアー選手は膝の曲がりが少なく、骨盤から前傾してスッと立っている選手が多い。意図的に膝を曲げるのではなく、骨盤が前傾することでお尻が後ろに出て自然に膝に角度ができるのが理想だ。このような状態になれば、下半身を使って効率的なスイングを行うことができる。
【アドレスの手順を行うことで前傾姿勢をキープ】
カッコいいアドレスをつくるには、アドレスを完成させる手順が重要だ。それほど難しくはないので、ポイントを覚えて正しい手順を身に付けてほしい。
アドレスの手順は、最初に直立した状態で胸の前でグリップをする。次に、腕の力を抜いて脇が軽く締まるところまでクラブを地面に向けて下げていく。そこからお辞儀の要領で、骨盤の角度を前傾させ、クラブヘッドが地面につくまで上半身を前に倒していく。最後に膝の力を抜くことで膝を少し曲げる。
この手順の注意点としては、膝を曲げる動きを最初に行わないことだ。骨盤を前傾させる前に膝を曲げる動きを行うと、骨盤が後傾して前傾姿勢が取りにくくなる。膝ではなく、骨盤を前傾する動きからアドレスの姿勢をとるように気を付けてほしい。実際コースでプレーする際、今回紹介したアドレスの手順をそのまま行う必要はないが、膝からアドレスの動作を始めないように気を付けてほしい。
そして、ボールに対して構える際は、足を動かしてボールとの距離を調整してほしい。手を伸ばしたり、前傾角度を変えてボールとの距離を調整してしまっては意味がないので、最初に作った前傾姿勢を維持したままボールとの距離を調整するようにしてほしい。
初級者はボールを打つことに気を取られ、アドレスがおろそかになりがちだ。骨盤から前傾することを気を付けて、かっこいいアドレスを目指してほしい。中級、上級者も定期的にアドレスを確認してみよう。新しい年のスタートに、一度原点に立ち戻り、アドレスからチェックしてみるのも大切なことだ。