GOLF

2021.08.06

下半身主導のスイングを身に付けるバックステップドリル【動画付き】

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム154回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。

マキロイの飛ばしの原動力は下半身

プロのスイングを参考にする人は多いと思うが、憧れのスイングとして名前が上がることが多いのがローリー・マキロイだ。今年の全米女子オープンを制した笹生優花がマキロイのスイング動画を見ながら練習したことは有名な話だが、プロから見ても理想に近いスイングといえるだろう。

マキロイは身長175センチと大柄ではないが、今シーズンの平均飛距離は317.7ヤード(2位)で、2017年と18年にはPGAツアーのドライビングディスタンスで1位に輝いたこともある。マキロイの飛距離の秘密はダウンスイングの下半身の使い方にある。ダウンスイングでスクワットをするように沈み込むことで、地面反力を利用してヘッドスピードを生みだしている。このダウンスイングを行うためには、バックスイングにおける準備が大事になる。マキロイは始動で下半身から動き出し、その後スイング中の力の向きが、大文字の「N」のように、上→右斜め下→上の方向に向かう。バックスイングで力が上に向かえば、次のダウンスイングでは下に力を向かわせることが容易になるうえ、上から下に大きな力を加えることができる。

マキロイのように右足からスイングを始動させると、地面反力が上に向かうので、その力を利用してスムーズにバックスイングを行うことができる。このようなイメージでバックスイングを行うことで、手先だけでクラブをヒョイと振り上げる「手上げ」を防ぎ、体の回転によってスムーズなバックスイングを行うことができる。
よく左肩や腰を無理に回してバックスイングしようとする人がいるが、下半身を使うことで右腰が切れ上がる動きが入ることで体は回転しやすくなる。

正しい力の向きと運動連鎖を体得

下半身主導のバックスイングを体得するのに効果的な練習法が、今回紹介するバックステップドリルだ。バックステップドリルを行うことで、前出の地面反力を使えるようになることに加え、スイング中の動きの順場「運動連鎖」が改善し、スイングの再現性が高まり飛距離アップを実現できる。右足で始動→上半身の回転でバックスイング→左足の踏み込みで切り返し→上半身が回転してインパクト・フォロー、というように、「下半身→上半身→下半身→上半身」の適切な運動連鎖の順番でスイングを行うことができる。

バックステップドリルは、スイングの始動で右足を一歩踏み出すシンプルな動きの練習法だ。アドレスではスタンス幅を狭くし、右足を靴一足分ほど目標と反対方向に踏み出して、バックスイングをスタートする。踏み出した右足で地面を押し、その反力を使ってクラブを勢いよく上げていく。この時、右腰は切れ上がり、右ひざもそれにつられて伸びるので、若干伸び上がるような感覚になるかもしれない。スイングの前半部分では、下半身を使って勢いをつけてバックスイングを行ってほしい。
バックスイング以降は、通常のスイングと同じように切り返しを行ってクラブを振り抜いていく。最初は素振りで行い、慣れてきたらボールを打ってもいいだろう。
全身を使って上方向に力を向かわせる感覚を身につけるために、トレーニングなどで使う重いメディスンボールを右上に放り投げるようにイメージしてみるといいだろう。下半身から始動して勢いをつけることで、手や腕に頼らない体全体が連動したバックスイングを行うことができる。

バックスイングをゆっくり上げるほうが良いと思っている人がいると思うが、出だしが遅いとバックスイング後半に腕でクラブを上げてしまいオーバースイングの原因となる。バックスイングの前半は加速、後半は減速して惰性でクラブが上がることで適切なトップの位置に収まる。また、上に力を向かわせることで体が伸び上がるような感じがするかもしれないが、前傾姿勢さえキープできれば頭の位置は上がっても問題ない。逆にバックスイングで頭を沈みこませたり、右足を踏ん張ったりすると地面を押し続けることになり、ダウンスイングで強く地面を踏み込めなくなるので気を付けたい。

ステップドリルをするときは、右足の踏み込みによる地面反力を意識して、スムーズなバックスイングを行ってほしい。下半身主導の始動を身に付ければ、効率よくボールを飛ばせるようになり、スイングの再現性も高まるので、練習に取り入れてみてほしい。

 

 

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=小林 司

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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