元サッカー日本代表として活躍していた波戸康広さんが今一番ハマっているのがゴルフ。団体スポーツとは違う個人スポーツ特有の緊張感と、全ては自分自身の責任という感覚が波戸さんの心を掴んだよう。そんな波戸さんの悩みは飛距離不足。特にドライバーの飛距離は平均230ヤードだが、なんとか250ヤード越えを常に打ちたい。そんな願いをプロゴルファー谷原秀人が叶えてくれる!?
「インパクトは体の正面」はうそ!?
〜飛ばない理由その1 インパクトで手が詰まる〜
まずは波戸さんのスイングを谷原プロに分析してもらった。そこにはいくつかの飛ばない原因が存在。それは筋力や柔軟性の問題ではなく、体の使い方にあると谷原プロは言う。
谷原プロ まずインパクトイメージを変えることから始めましょう。波戸さんはどんなイメージでインパクトしていますか?
波戸さん 体の正面でインパクトするイメージですね。
谷原プロ それをもっと体を開いた状態でインパクトする感じにしましょう。
波戸さん ドライバーのミスはほとんどが右へのスライスなんですが、体を開くと余計に右に行くような気がしますが?
谷原プロはもっと腰を回転させた状態でインパクトするようにアドバイス。インパクトでボールに力が伝わらない理由はボールを押せていないからだと分析した。
谷原プロ 右へのスライスが出るのはインパクトでフェースが開いているからです。開いた状態だとボールは押せません。その原因になっているのが体の伸び上がりです。伸び上がる理由はいくつかありますが波戸さんの場合は、アドレスの段階でボールとの距離が近過ぎることです。もう少し離れて立ってみましょう。
波戸さん 結構違和感がありますけど、当たりますかね?
谷原プロ 最初はボールに当たらなくてもいいので、回転することだけを考えながら振ってください。体が伸び上がるのは体の正面に腕が通るスペースが無いからで、その原因になっているのがボールとの距離です。
今回谷原プロが波戸さんにアドバイスしたのは大きく2点。インパクトのイメージと、アドレス時のボールとの距離。要するに理想的なインパクトイメージで振るためには、スタート地点となるアドレスのポジショニングが重要になる。ボールと少し離れることで、腕の通り道ができてインパクトで詰まらずに体が回転するようになった。単に回転することを意識させるのではなく、回転しやすくするために何をすべきかを的確に指導。結果、波戸さんはこれまで体感したことのない球の重さをインパクトで感じることになった。
波戸さん ボールがフェースに乗っているってこういう感覚なんだなと思いました。弾道が確実に強くなっているのが本当に嬉しかったですね。
谷原プロ 波戸さんのように多くの人がインパクトは体の正面というイメージを持っているかもしれませんが、スイングは常に動き続けていなければならないものです。「体の正面で」とイメージした時点で動きが止まってしまうんです。波戸さんの場合も体を止めてインパクトしているから、手で合わせるインパクトしかできないんです。これではボールにパワーは伝わりません。
次回はボールを押すために必要な動きをさらに深堀りしていく。波戸さんの悩みでもあるスライスをドロー系に変貌させる腕の使い方についてのレッスンです。乞うご期待!
谷原秀人
たにはら・ひでと。1978年広島県生まれ。東北福祉大出身。日本ツアーでは通算14勝を挙げており、2016年の日本プロゴルフ選手権でメジャー制覇を果たしている。2018年、19年は欧州ツアーを主戦場として戦い、今まで以上のタフな精神力を身につけ帰国。2020年からは再び日本ツアーを中心に戦う予定。YouTubeチャンネル「HIDE TUBE」も開設中!
波戸康広
はと・やすひろ。1976年兵庫県生まれ。元サッカーの日本代表選手で現在は横浜F ・マリノスでアンバサダーを務める。ゴルフ歴は9年。平均スコアは90くらいとのことだが、飛距離が出ないことが長年の悩みで、今回は谷原秀人プロの指導のもと、30ヤードアップを目指す。現在のドライバーの平均飛距離は230ヤード。