GOLF

2020.05.21

ゴルフボールをふわりと上げる! "寄せワン"のためのアプローチ法

世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム96回目。今だからこそやるべき、自宅でできる特訓法をお届けする。

吉田洋一郎

バウンスを使う感覚を身につけアプローチの技を磨く

グリーンまで20ヤードのアプローチショット。ふわりとボールをあげて、ぴたりとカップに寄せるプロの技に憧れる人も多いだろう。フェースにボールが乗った柔らかいアプローチショットは、アマチュアにとって難しい技の一つだ。多くのアマチュアは無理にボールを上げようとせずに、できるだけ転がすほうが安全策だといえる。しかし、バンカーショットやグリーン手前に障害物がある場合など、どうしてもボールを上げなくてはならないときがある。

そこで、意を決してボールを上げてみようとしたものの、トップしてボールがグリーンを超えてはるか遠くに落ちて青ざめたり、ザックリしてボールが勢いなくグリーン手前を転がるのを見て頭を抱えた経験がある人は少なくないだろう。

しかし、ウェッジのバウンスを上手く使えば、普段のアプローチが簡単になるだけではなく、ボールを高く上げるアプローチも楽にできるようになる。今回は、バウンスを使う感覚を身につける自宅でもできる練習法を紹介しよう。

バウンスを上手く使えばアプローチのミスも減る

多くのアマチュアがアプローチでうまくいかない理由は、インパクトで「ボールをクリーンにとらえよう」という意識にある。クラブヘッドでボールをクリーンにとらえようとすると、リーディングエッジで直接ボールを打ってしまったり、逆に手前の地面に刺さってしまったりする。ボールをスタンスの右において、リーディングエッジでボールをクリーンにとらえる打ち方は決して間違いではないのだが、打点の精度が求められる。練習量の限られるアマチュアが、プロのように毎回同じ打点でボールをとらえることは現実的ではない

だから、アマチュアの場合はウェッジの裏のバウンスを使ったアプローチで「保険」を掛けた易しい打ち方を行ったほうがいい。バウンスを使えば多少ダフっても、ボールは目標に飛んでくれるし、ダフることが前提なのでトップもしない。トップやダフリの大きな失敗をすることはなくなるのだ。ミスを前提にした打ち方をすることで、カップに寄せられる確率は高まる。

フェースを開き、バウンスを滑らせる

バウンスを使ったアプローチをマスターするために、まずはバウンスを使う感覚を養うことが大事になる。その感覚を養うためにサンドウェッジを使い、自宅のカーペットなど床が柔らかな場所で素振りをしてみよう。クラブで床をこするように滑らせるので、床やカーペットが傷つかないように気をつけてほしい。厚手のタオルを敷いてもいいだろう。

アドレスでは、グリップを左ふとももの内側あたりにくるようセットにし、フェースを開く。フェース面が上を向き、リーディングエッジが右側を向くくらい極端にしても構わない。すると、裏のバウンスの最も飛び出た部分が地面に接地し、リーディングエッジが少し浮いた形になる。いつもリーディングエッジを目標方向に向けている人は、右にボールが飛ぶように思えるだろう。しかし、振り抜いた方向にボールが飛ぶので心配はいらない。バウンスが地面に接地した状態でセットアップすることは、バウンスが使ったアプローチには欠かせない。

スイングの幅は地面とシャフトが平行になるくらいの高さまでで十分。フェースを開いたままバックスイングをして、ソールをすべらせるように振り抜いていき、フォローでもフェースは開いたまま上を向いていればOKだ。

手元が先行するハンドファーストのインパクトや、手先でヘッドを叩きつけるようなインパクトになってしまうとバウンスを滑らせることができない。最初のうちはグリップエンドの位置を変えずに振り子のようにスイングしてみると、ヘッドが加速しながらバウンスが滑る感覚がわかるだろう。

バウンスを滑らせる際に、気を付けてほしいのがバウンスを滑らせるイメージや感覚だ。バウンスを床に押しつけてこするようなイメージを持ってほしい。「サラッ」と軽く擦る程度の接地ではバンスは滑らない。バンスを滑らせる経験が少ない人はダフりそうで怖いかもしれないが、「トンッ」という音がするくらい強めに接地させるといいだろう。ヘッドを加速させながら、バンスで接地面に圧をかけることでフェースにボールが乗るアプローチショットを打つことができる。

このバンスを使う感覚を身につければ、普段のアプローチで大きなミスをすることはなくなる。さらに高いボールを上げられるようになったり、バンカーショットも克服できる。グリーン周りでの選択肢も増え、アプローチが楽しくなることだろう。

TEXT=吉田洋一郎

PHOTOGRAPH=松川 忍

COOPERATION=取手桜が丘ゴルフクラブ

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