世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム88回目。多くのアマチュアゴルファーを指導する吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
手首を固めてもうまく打てないわけ
ブルックス・ケプカやジャスティン・ローズなどPGAツアーのトッププロの多くは、パッティングで振り子型のストロークを採用している。いわゆる「ショルダーストローク」といわれるこの打ち方は、手先を使わずに体を支点にしてパターを振り子のように動かすため、再現性が高く、毎回同じようにボールを打つことができる。
パッティングは動作もゆっくりで遠くに飛ばすわけではないので、比較的やさしそうにみえるのだが、実際は思った方向にボールをうまく転がせなかったり、強く打ちすぎたりして悩んでいるアマチュアは多い。こうした悩みを持つアマチュアの多くは、手先でパターを動かしてしまい、軌道やインパクトの強さが一定しない。このような「手打ちパッティング」を直そうと、手を使わないようしたり、手首を固めてストロークをしてみた経験がある人もいるだろう。しかし、手首を固めることで、必要以上に体が動いてしまったり、固めた手に力が入りすぎて距離感が合わないなど、うまくいかなかった人も多いのではないだろうか。
今まで手先に頼っていた人は、単純に手首を固めることだけを意識しても、ストロークをしづらく感じるため、無意識に腕や体で不必要な代替動作を行ってしまう。そのため、手首を固定して使わないかわりに、能動的に他の適切な動作を行う必要がある。更に言うと、手首を無理に固定しなくても、自然とアドレスの手首の形が変わらないストロークを行えばいいのだ。
背骨から生えた長尺パターを動かすイメージで
手打ちパッティングを脱却するために、振り子型ストロークをおすすめしたい。振り子型ストロークはショルダーストロークという名称でも呼ばれることがあるが、肩を動かして打つことではない。過度に肩を上下に動かしたり、左右の肩甲骨を寄せたりする人がいるが、それでは振り子のようにパターを動かすことはできないので注意してほしい。
振り子型ストロークで大事なことは、支点をイメージすることだ。支点をイメージしてストロークをすることができれば、手先は動かす必要がなくなり、パターを持っているだけでストロークすることが可能になる。
一番おすすめなのは背骨(胸椎)を支点にすることだ。肩甲骨下部から肋骨下部の間に位置する背骨(胸椎)を意識すると良いだろう。胸椎からボールに向かって長いパターが生えているようなイメージを持つことで、体を中心とした振り子型ストロークを行いやすくなる。手首やひじは無理に固める必要はなく、アドレスの形を変えないようにして、パターを持っているだけでいい。この状態で胸を左右に動かすと、それに合わせてパターが動く感覚がつかめる。アドレスの体勢から胸を右に向けるとバックスイングになり、左に向けるとダウンスイングからインパクトを経てフォローになる。これなら、いつも同じような振り子の動きを再現できるはずだ。
手首やひじは使わず、背骨から生えたパターを上半身の回転で動かす。この感覚を身に付けることができれば、パッティングの正確性が高まる。手打ちパッティングに悩んでいる人は、ぜひトライしてみてほしい。