世界No.1のゴルフコーチ、デビッド・レッドベターの愛弟子・吉田洋一郎による、最新ゴルフレッスンコラム32回目。顧客の多くが国内外のエグゼクティブ、有名企業の経営者という吉田洋一郎コーチが、スコアも所作も洗練させるための技術と知識を伝授する。
良い球が出たスイング=良いスイングとは限らない?
私は普段アマチュアへレッスンを行うとき、インドア練習場を使っている。レッスンの拠点を選ぶ際いくつかポイントがあったが、意図的にインドアのスタジオを選んだ。
それは打った球が見えないインドア練習場のほうがスイング固めに向いているという特性があるからだ。
奥行きがある屋外の練習場は、打ち出されたボールの行方がはっきり見える。ゴルファーは誰でも良い球が打てれば満足するし、曲がれば落胆する。この球筋の情報は、スイングの改造中にはノイズになる場合が多い。良い球が出たスイング=良いスイングとは限らないからだ。
スイングの改造を行なっている時は、打ち出したボールが曲がってしまってもスイングは良くなっているということは往々にしてある。むしろ、新しい動きに取り組むため、最初のうちはミスショットのほうが圧倒的に多い。
だから納得のいくボールが打てても、良いスイングができているとは思わないでほしい。見出しにある「球を教師にしない」とは、アメリカのレッスンの格言だ。
練習の場を3段階で使い分ける
では、あなたが練習する際にはインドア練習場と屋外練習場どちらがいいのか? それはあなた自身の課題によって異なる。私は3つのフェーズで練習の場を変えることをお薦めしている。
スイング改造など体の動きを変える必要な段階では、ボールの行方が見えないインドア練習場が向いている。空調も整っており気温や天候などを気にせずに集中して反復練習ができるというメリットもある。フルスイング以外のドリルなどを行ってスイングに必要な動きを身に付けるといいだろう。
スイングがある程度固まり、スイングと球筋を調整する段階になると屋外練習場が適している。屋外練習場は球筋が見えるため、自分のミスの傾向を改めて確認ができる。ラウンド中に出たミスは印象に強く左右されやすく、どんなミスがどのくらい出たのか客観的に把握するには打球が見える屋外練習場が向いている。スイングと球筋の関係性を自分で把握し、コースで通用する自分なりの方程式を作り上げるといいだろう。
また、落としどころに看板などの目標があるため、アドレスの向きの確認や距離感を磨く練習にも適している。1球ごとにターゲットを変えて方向性や距離感を磨く練習をすれば、欧米の練習場のように芝の上からボールを打てなくても、コースに出て使える技術が身につくはずだ。
そして最後の練習の場はコースだ。いくら練習場で良い球が出ても、コースで良いパフォーマンスを発揮しなければ意味がない。そのためには練習場で球数を打つのではなく、コースで練習を重ねる必要がある。コンペや仕事関係でのゴルフも多いと思うが、それとは別に機会を設けて練習と割り切ってラウンドしてみるといいだろう。ここではミスを恐れずに思い切り試してみることが重要になる。新しく習得した技術はもちろん、球筋の打ち分けや今まで試したことのないコースマネジメントにトライしてみるのもいいだろう。
練習と割り切ってミスを恐れずに行うことで、ミスに対する恐怖心が拭えたり思いのほかうまくいくことが確認できたりと収穫は多いだろう。
せっかく時間を作って練習をするのであれば、どんな練習をやるかに加えて、どこでやるのかという要素も加えれば、上達のスピードが早まるだろう。