いつの時代も輝いて見えるのは、譲らず、妥協せず、確固たる哲学を持つ男たち。今回は、ギター片手に全身でソウルフルな音を創りだし、色気のある大人のステージを披露し続けるミュージシャン・田島貴男に肉薄する。
やるしかないという思いで続けてきたからこそ今がある
「ミュージシャンとして30年以上やってきましたが、太く濃く生きてきたという実感はそんなにないです。そう見えるのは、2011年から『ひとりソウルツアー』を、さらに’13年から『弾き語りツアー』を毎年続けてきて、ソウルパワーという言葉を連呼しているからかもしれません。上手く噛み合わない時期もありましたが、10年続けてきたことで、ようやくいい感じに回ってきたように感じます。今年は『接吻』という曲がTikTokで注目されたりと、若い世代が僕のことを認識してくれたのもありがたいことでした」
自分のベースとなる活動を地道に続けることこそが重要
「ミュージシャンはコンサートツアーをしてアルバムを作るというサイクルだったものが、’00年頃を境に音楽業界のシステムが激変。配信がメインとなって、音楽フェスやイベントが各地で開催され、ミュージシャンがツアーをする形態から、フェスに出演することが多くなりました。僕も時代の変化を感じてはいましたが、さまざまな事情があり、すぐにはそうなりませんでした。
そこから『ひとりソウルツアー』を演ってみようとなるわけですが、どういうスタイルでステージに上がるかをゼロから考えてのスタートは思った以上に大変でした。でも続けていくことで自分の音楽のスキルが上がってバンドにも経験が生きたし、そして何よりも音楽性の幅が広がった。『ひとりソウルツアー』を始めていなかったら、音楽をやめていたかもしれないほどです。続けていたからこそバンドもフェスから声がかかり、’22年は念願だったフジロックのグリーンステージにも出演できた。ベースとなる活動を続けていればバンドにも還元されることを実感した出来事でもあります。
コロナ禍でご批判をもらいながらもライヴツアーを決行したのも、自分には音楽しかないのでやるしかないという思いが強かったから。そこは諦めない男という精神だったかもしれません。ライヴに足を運ぶ方がめっきり減ったとはいえ、お年を召した方もまだまだ会場にいらしてくださる。そのためにもライヴは今後も続けていきたい。身だしなみや自身のケアもいいものに出会ったら取り入れつつ、体力と好奇心と気力が続く限り、あと40年ぐらいはステージに上がりたいですね」
Takao Tajima
1966年東京都生まれ。’85年にオリジナル・ラヴを結成。以後、作品のリリースやライヴなど、多方面で精力的に活動。2022年11月16日には、3年ぶり20枚目となるニューアルバム『MUSIC,DANCE & LOVE』が発売されたばかり。さらに現在、全国12会場で『ひとりソウルツアー2022』を開催中。
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