2022年3月10日(木)から駐日スペイン大使館で開催される「SDGsの先駆者 アントニ・ガウディ 形と色 ‐150年前からのヒント‐」展は、スペインが誇る天才建築家の作品の数々を、SDGs の視点から再検証してく取り組みだという。ガウディが、その建築に込めた想いの新たな側面が浮かび上がる。
100年以上も前にSDGsの思想を建築に落とし込んだ奇才
2015年、国連で採択された「SDGs」(持続可能な開発目標)が、一般的に認知されるようになったのは近年の話。そのなかでスペインは、20年以上も前から持続可能なエネルギーモデルを目指し、再生可能エネルギーへの転換に取り組んできたSDGs先進国だ。
そのスペインを代表する建築家が、アントニ・ガウディ。 サグラダ・ファミリア、グエル公園、カサ・ミラなど、奇想天外な構造と色使いでバルセロナの街を彩る数々の作品は、建築に疎くとも一度は目にしたことがあるだろう。今回の展覧会が取り上げるのも、ガウディの名作の数々であるが、その切り口となるのがSDGs。ガウディは、100年以上も前にSDGsの思想を建築に落とし込んだ先駆者だというのだ。駐日スペイン大使館のホルヘ・トレド大使はいう。
「建築におけるサスティナビリティといった面で、ガウディは本人が生きた時代より遥か先を進んでいました。彼が用いた建築素材の多様性と工夫、建物における生物気候設計や構造の最適化は、ガウディの作品に偏在する要素であり、建築の持続可能性という観点から当時すでに時代を先取りしていたのです」
当展覧会の第1章「水のデザイン」では、バルセロナ郊外の田園都市構想であるグエル公園をピックアップ。バルセロナは万年水不足に悩まされてきた都市であったことから、ガウディは新たにつくる田園都市のために、雨水を利用した水インフラをデザインしたのだ。
第2章は「風のデザイン」。ガウディが手がけた集合住宅であるカサ・ミラやカサ・バトリョは、暖房やエレベータなど当時の最先端技術が取り入れられた一方で、自然の通風を最大限に活用した換気システムも設計。電気に頼らず、住人が自ら換気量を調整するための窓や建具、さらに、煙突効果を利用して屋根裏部屋の洗濯室に風を送るなど、あまなく空気の力を利用している。
第3章 「大地のデザイン」 で取り上げるのはサグラダ・ファミリア。最も有名な建築物のひとつである、この未完のカトリック教会には、無駄を排除した形状を追求するガウディの思想が凝縮されている。二重螺旋や線織面など、合理的な形態を求めるために幾何学を取り入れることで、光、音、風、そして重力にとって無駄のない形をデザインしたのだ。
人と自然が共生する建築や都市空間をデザインしてきたガウディにとって、自然とはイコール環境のこと。現在におけるスペインのSDGsに対する在り方は、ガウディという奇才が抱いていた思想から紡がれたものだと言っても過言ではない。ガウディの建築を改めて紐解くことは、我々に新たな気づきをもたらしてくれるはずだ。
「SDGsの先駆者 アントニ・ガウディ 形と色 ―150 年前からのヒント―」
住所:東京都港区六本木1-3-29 駐日スぺイン大使館
会期:2022年3月10日〜3月31日(土日祝は休館)
時間:10:00〜17:00(金曜は〜16:00) ※予約不要
料金:無料
TEL:03-3505-8731 (スぺイン大使館代表)