まさに今、パフェは大人こそ味わうべき逸品に進化を遂げている。構築的に作られた見目麗しいルックスだけでなく、味の構造もしっかりと計算して組み立ててあるのが建築パフェの魅力。ひとりでゆっくり味わうという愉しみもあるが、パートナーを誘っても喜ばれること間違いなしだ。
週末の夜、ホテルのバーでパフェに酔いしれる
ウェスティンホテル東京内にあるエグゼクティブ・バー「ザ・バー」では、香り高い洋酒と上質な食材を組み合わせて作る「Premium Parfait at THE BAR」の冬メニュー、「Premium Winter Parfait プレミアムウィンターパフェ」3種類を展開中だ。
スイーツファンを魅了するエグゼクティブペストリーシェフの鈴木一夫氏が、ライフワークにしたいと3年前にスタートさせた「Premium Parfait at THE BAR」。落ち着いたバー空間で大人がゆっくりと楽しむことのできる夜パフェは、金・土・日曜と祝休日の夜限定で味わうことができる。
ピスタチオと真っ赤なベリーが印象的な「ラズベリーとピスタチオのチョコレートパフェ」には、ラズベリーブランデー「ボージュ オードヴィ フランボワーズ」を使う。また、マンゴーやラムレーズン、キャラメルを重ねた濃厚な「マンゴーとラムレーズンのキャラメルパフェ」には上質なラム酒「ディロン トレヴューラム V.S.O.P」をふんだんに香らせ、フランス産と国産の苺を使い分け、合わせることで奥行きのある味わいに仕上げた艶のある「ストロベリーとローズのパフェ」には、香り高いグラン マルニエ「コルドン ルージュ」をたっぷりと。
食べ進むごとに、層を重ねるごとに濃厚になるパフェは、バーでカクテルのように、そして、好みのアルコールやコーヒーと一緒に味わえるよう、溶けてもおいしく、ゆっくりと時間をかけて食べられる設計にもなっている。
3種のうちの1つ「マンゴーとラムレーズンのキャラメルパフェ」を詳しく紹介。最初はキャラメリゼで仕上げたディプロマットクリーム、ラムレーズン、マンゴーキャラメルソースと、至極軽く滑らか。冷たさもなく、まるでカクテルを味わうように始まる。中盤には、バナナミルクアイスとキャラメルソース、バナナミルクアイスの間に濃厚なババ・オー・ラムが潜む。その下のラムレーズンとマンゴーに行きつくころには、かなり酔っていることに気づくはず。
カウンターに席をとり、スペシャルなパフェに合わせるウイスキーやドリンクをバーテンダーと相談しながら味わう楽しみもある「ザ・バー」。ひとりはもちろん、3種類あるから誰かを誘って、好みのカクテルをオーダーするように異なるパフェを楽しんでみてはいかがだろう。
月ごとに変わる旬のフレッシュな味わいを堪能する
旬の食材の瑞々しいビジュアルと味覚が楽しめ、毎月味わいに訪れるコアなファンもいるというエンポリオ アルマーニ カフェの「季節のパフェ」。2月に登場するのは「チョコレート、赤パプリカ、ベリーのパフェ」だ。
繊細な濃いピンク色のチュイールをひと口味わえば、フランボワーズの豊かな香りで満たされる。チョコレートの滑らかさ、そしてフレッシュなイチゴ、フランボワーズ、赤すぐりというレッド系のフルーツの生き生きとした甘酸っぱさに迎えられる。
続いては、濃厚なチョコレートソルベ、フランボワーズと赤パプリカのソルベ、さらには、やや氷の粒の形状を粗くし、シャリシャリとした食感の野イチゴのグラニテ。それぞれの味わい、そして、ミックスされた味を楽しみながら食べ進める。中盤にさしかかると、生クリームを乳酸発酵させたシャンティエペスが待ち受ける。濃厚で芳醇なコクと軽やかな酸味のクリームが全体をまとめ、ザクザクとしたチョコクランブルの食感も楽しい。
グラスの周囲を飾る極上のイチゴ、滑らかなチョコクリームの下に潜むのは、フランボワーズとアップルビネガーのジュレ。さらに、ベルガモットとローズマリーのジュレを味わえば柑橘の爽やかさとフローラルな香味に満たされる。
チョコレートをメインに、フランボワーズ、赤パプリカ、ベルガモットほか、構成要素のすべてが引き立てあう、まさにグルメ心を満足させてくれる味わい。思いのほか軽やかで、春を思わせるひと品だ。
なお、表参道に面したガラス張りのカフェはスタイリッシュすぎて、少し気後れするという方にはカウンター席をおすすめしたい。通りを行き交う人を気にすることなく、思う存分にパフェを堪能できる。
自家製4種のチョコレートを駆使し、極めたパフェ
カカオ豆の焙煎からチョコレートまでのすべての工程を一貫して手掛けるBean to Barブランド「ショコラティエ パレ ド オール」。日本を代表するショコラティエ、三枝俊介シェフ渾身の作が「パルフェ ショコラ パフェ」。男性ビジネスパーソンのリピーターも少なくないという噂のチョコレートパフェである。
トッピングの極薄カカオチュイルをサクサクと味わった瞬間にカカオの芳醇な香りに引き込まれる。カカオポッドの姿を象ったカカオあめチュイルも心憎い。そしてチョコレートのカップに鎮座するのは、オリジナルの「スーパーハイカカオ」チョコレートのソルベ。濃く滑らかなチョコレートソースとともに味わってショコラの世界に酔いしれる。周りを囲む、カカオ塩味のタルト生地と、しっとりとチョコレートを染み込ませた生地の食感や濃さの違いを堪能。その下には、自家製チョコレートのクリーム、自家製ミルクチョコレートとホワイトチョコレートという2種のソルベ。ボトムに潜むベリーの酸味はいいアクセントとなる。
使われている4種の自家製チョコレートは、カカオ分 70%のトリニダード・トバゴ産カカオのビターチョコレート、 ベトナム産カカオで作るミルクチョコレート、工房で搾った自家製カカオバターで作るホワイトチョコレート、そして、自家製高カカオチョコレートに、カカオパウダーを加え、カカオの濃度をこれでもかと高めてあるスーパーハイカカオだ。
パフェと一緒に構成図も届くから、今自分がどこまでたどり着いているのか対照しながら食べ進められるのも嬉しい。春になったら、グラスシャンパーニュと一緒に味わうのもまた一興だ。
2週間ごとに新作登場。週末の夜、隠れ家で味わうシメパフェ
季節や月替わりではなく、2週間ごとにテーマが変わるパフェが味わえるのは、奥渋エリアにある「プルミエメ」。通常は「ちょっとよそゆきの朝ごはん」をテーマに、8:00から17:00までのオープンだが、2022年の2月と3月の毎週金・土・日曜(除く2/13)は、「プルミエメ_ソワレ」として夜(18:00~)も営業する。そして、味わえるのは2週間ごとにテーマが変わる、超限定の「ちょっとよそゆきのシメパフェ」だ。
第1弾、2月前半のテーマは「バレンタイン」。
ひと言で表現すると「スパイスを効かせたチョコレートと柑橘のパフェ」なのであるが、構成要素はなんと11種類、13層にも及ぶ。まず、トップにあるコロンビアミルクチョコレート、野生のアマゾンカカオを発酵させた上品な酸味が特徴のアマゾンカカオのパウダーとカカオニブのメレンゲを手でつまんで味わうことからスタート。その下にある八朔の皮のピール、バニラアイス、軽やかなミルクチョコ&ダージリンクリームに八朔のゼリー、ダージリンジュレと重なる層を味わっていく。それぞれの食感や香り、温度、口溶けの違いを感じながら食べ進め、さらに、要素が2つ3つ……と、重なっていく味覚の広がりはとても感動的だ。後半は、ブランデーとスパイスに漬けたレーズン、そして、アニスやクローブ、バニラやカルダモンといった香りを纏った焦がしスパイスキャラメルでソテーしたバナナと、ミルクチョコ&ダージリンクリーム。最後にカリカリとした食感が楽しいクランブルにたどり着く。
きび砂糖やカソナードといった雑味とコクのある砂糖を使っているため、くどさは一切なく甘みのキレがいい。スパイスも口中の温度で香りがほのかに立ち上るという絶妙さ。適度な瑞々しさや苦さも相まって、あっという間に食べてしまう。
手がけるのは、現在、アシェットデセール(皿盛りのデザート)とパフェの店「As(アス)」を開業準備中のパティシエ、青木繫さん。「パフェも焼き菓子も作り立ての美味しさを味わって欲しい」と、パフェには、焼きたての「ヘーゼルナッツとチョコとスパイスを効かせたフィナンシェ」が添えられている。パフェの後にバターやナッツ、スパイスがふんわり香る、ほんのり温かな焼き菓子を頬張れば、舌も心も幸福感で満たされる。
今後予定の日程とテーマは、2月後半(2/18・19・20・25・26・27)が「いちご尽くし」、3月前半(3/4・5・6・11・12・13)が「ホワイトデー」、3月後半(3/18・19・20・25・26・27)が「お花見」だ。